「未来の家族」を話し合う場があまりに少ない 価値観が激突する「生殖医療と家族」を考える
――私の身の回りでも、生殖補助医療で子どもをもつ人は多いです。どんどん新しい技術が出てきますね。
詫摩:そうですね。科学技術の進歩はものすごく速いので、法の整備とか、私たちの気持ちが追いつかなくなっている部分があるんじゃないか。そういう問題意識もあります。
何か新しい技術ができたとき、「ちょっと怖いから、使うのはいやだ」という方もいれば、「どんどん使おう」という方もいる。それは個人個人の価値観なんですね。
そのときに、異なる価値観の人同士が争うのではなく、お互いに言い分を聞いて、多様な価値観を尊重しつつ、落としどころを見つけていく。そういうことが、これからもっともっと大事になっていくと思うんです。
家族は、誰にとっても身近で「自分ごと」なテーマなので、違う価値観の方を知ることで、自分の価値観を揺さぶられます。自分と異なる価値観に嫌悪感をもつこともあるかもしれない。でも、直接相手の話を聞いてみると、「なんで私は、このことに嫌悪を感じていたんだろう?」と思ったりする。
そうやっていくことで、少しずつみんなが共存しやすくなっていくのではないかな、という思いもあります。
家族ってそもそも何?
長谷川潤(以下、長谷川):ちなみに、これはぼくらが考える「未来の家族の形」を表した図です。こんなふうに家族って、「人の心」と「社会制度」のちょうど合わさったところでできているものなのかな、と思うんですね。
そこへさらに「科学技術」というものが入って、家族観を拡張するのかな、というふうに考えています。
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