梅酒ヌーボー、超早期“解禁"のカラクリ 穫れたての紀州南高梅を使用、老舗酒造の挑戦
漬け込む梅には、梅の本場、和歌山県で収穫されたばかりの南高梅(青梅)を使用する。日本酒も「昨年秋に収穫した新米を使って、今年の春ごろに出来上がった新酒を使う。『今年の青梅』を『今年の新酒』で漬ける。梅酒を自分でつくるような人なら絶対に飲みたいはず」と南部美人の久慈浩介専務は言う。
南部美人が、砂糖を使わず、日本酒だけで梅酒を作る技術を確立したのは2008年。岩手県工業技術センターとの共同開発で、特許も取得している。「日本酒には新酒という季節感があるが、リキュールでは提案ができていなかった」(久慈専務)ことが、梅酒ヌーボーの製品化のきっかけになった。
「糖類無添加 梅酒ヌーボー」の価格は720ミリリットルで1700円、1800ミリリットル(一升瓶)で2980円。酒販店からの受注生産で対応するが、南高梅の収穫量との関係から、720ミリリットル換算で4000本程度の限定品となるようだ。
日本酒離れに悩む
南部美人のような日本酒製造の名門が、梅酒に取り組んでいる背景には、日本酒離れがある。国税庁統計年報書によれば、日本酒の販売(消費)数量は20年前から半減。ピークで国内に3000蔵程度あった酒蔵も同じく半分程度まで減っている。「日本酒を若い人に飲めと言ってもなかなか難しい。間口を広げる意味でも、日本酒の蔵がつくったリキュールということで梅酒を手がけている」と南部美人の久慈専務は明かす。
梅酒の新しい楽しみ方を提案する老舗酒造。その裏側には、日本酒業界の新たな挑戦の姿も見えてくる。
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