おそらく日本の人がびっくりすることとして、名刺交換があります。デンマークでは、日本のようにかしこまった「交換方法」は重要ではなく、トランプのカードのようにテーブルにスライドさせて渡すこともあります。その理由は、ミーティングで会ったということは、それだけでその人は重要な人であることがわかり、その人の肩書きなどは重要ではないからです。
名刺はメールアドレスを受け取って、後から連絡を取るためのものでしかありません。ミーティングではゴールを明確にして最後に何か結果を出すことが大切です。2回目のミーティングで1回目と同じことを話し合うことをしたら、デンマークでのビジネスはうまくいかないでしょう。
「できない」ことは「できない」、「できる」ことは「できる」と、早く決断します。時には早すぎることもあるぐらいです。
会議に決定権がない人が参加をするとびっくりされますし、「それは持ち帰って検討を」と言うと、参加者に失礼になります。もちろん日本では、そうすぐに決定されないことを知っているので対応しますが、デンマークでビジネスを行うのであれば、決定権がある人がミーティングに参加しなければいけません。
――「儀礼的なミーティング」が多い日本とはかなり違いますね。でも若くても仕事を任せられるとは、その人がよほどしっかりとしていないといけないですね。
カイさん:デンマークの大学生はとても自己肯定感が強いです。若いからミーティングで意見を言えない、などということはありません。また、デンマークの大学生は日本の学生よりも入社の時点で年齢が高く、成熟しています。日本では大学を卒業してすぐ、22~23歳で一斉に入社しますが、デンマークでは25~30歳です。
――なぜ年齢の差があるのですか?
カイさん:まずは修士を取る人が多いこと、それに大学に入学する前に1年、卒業してから1年など、旅行に行ったり、仕事をしたりしています。デンマークの人は就職するまでに1〜2年は時間をかけてゆっくりしているので、逆にのんびりしすぎということで、そこはもう少し急ぐようにプッシュしているのです。
インプットでなく、アウトプットをコントロール?
――それは仕事をする時期や方法に選択肢が多いということですね。
カイさん:日本は「構造化」社会ですよね。デンマークはそこまでではありません。それぞれです。
――個人がちゃんと意見を持っていれば、システムにしばられなくてもいいということでしょうか。タイムスケジュールなども柔軟性があると聞きます。
カイさん:週に40時間という勤務時間は決まっています。その中でどう使うかは任されているので、夜遅くまで働いたら、次の日に子どもの学校の行事に参加して10時半から来てもいいのです。それはデンマークがアウトプットコントロールの国だからです。インプットコントロールの国ではありません。
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