オープンな組織が「無能な社員」を駆逐する イノベーションが起きる組織の違いとは?

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

――著書で「ピーターの法則」に触れている。「階層社会で、人は能力の限界まで昇進を重ね、それぞれ無能になる階層に達する。すると、多くの役職を職責の果たせない無能な人間が占める。仕事は、まだ無能となる階層に達していない人間が行う」とした法則は、かつて日本でも話題となった。レッドハットでもこの法則が働くことはあるのか。

オープンな会社のリーダーになるには、面と向かって「それは間違っている」と言える人かどうかが重要だ。CEOの私でも「この方向は違う」といったことを社員に言われている。

会社にふさわしくない人の場合、周囲から声高に「間違っている」「これは違う」などと批判されると、本人はいづらくなり、自ら辞めていく。周囲から受け入れられない人は責められ、淘汰される。オープンな組織というのは、自然淘汰の機能が働く組織ともいえる。

階層とオープンのバランスをどうとるか

ジム・ホワイトハースト(Jim Whitehurst)/レッドハットCEO。米テキサス州ライス大学卒業。ロンドンスクールオブエコノミクスで教養課程修了。1989年ボストンコンサルティンググループ入社。同社シカゴ、香港、上海、アトランタのオフィスに勤務。1994年ハーバードビジネススクールでMBA取得。デルタ航空COOを経て2007年から現職。ノースカロライナ州ダラムで妻と双子の子どもと4人暮らし(撮影:今井康一)

――レッドハットにおけるピーターの法則は「無能になると居場所がなくなる」「居場所がなくなると自発的に辞めていく」ということか?

社員の中には「こんな会社はばかげている。混乱の極みだ。みんなに意地悪される」と辞めていく人と「まさしくこういうような場所を求めていたんだ」と水を得た魚のように生き生きする人と、二通りに分かれるようだ。

――レッドハットも大所帯となり、階層化は避けられないのでは?

今は1万人体制。これだけ大きくなると、ある程度の階層構造も必要だ。四半期ごとに決算を出さなければならないし、トップダウンで決定することもある。上場企業として秘密も守らなくてはならない。一方、ボトムアップによるオープンな意思決定、イノベーションを目指した意思決定も必要だ。どうバランスを取るかが重要になっている。

会社に変化がなく安定している場合、階層構造はさまざまな問題に対して効率的に対処できる。計画を立てて実行し、徐々に改善していけばいい。ただ、変化への対応力は弱くなる。一方、階層のない組織では、イノベーションや変化に対応する力は高いが、効率が悪くなる。完全な階層構造と完全なオープンの間のどのレベルを目指すかは、それぞれの会社が決めることだろう。

山田 雄一郎 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

やまだ ゆういちろう / Yuichiro Yamada

1994年慶応大学大学院商学研究科(計量経済学分野)修了、同年入社。1996年から記者。自動車部品・トラック、証券、消費者金融・リース、オフィス家具・建材、地銀、電子制御・電線、パチンコ・パチスロ、重電・総合電機、陸運・海運、石油元売り、化学繊維、通信、SI、造船・重工を担当。『月刊金融ビジネス』『会社四季報』『週刊東洋経済』の各編集部を経験。業界担当とは別にインサイダー事件、日本将棋連盟の不祥事、引越社の不当労働行為、医学部受験不正、検察庁、ゴーンショックを取材・執筆。『週刊東洋経済』編集部では「郵政民営化」「徹底解明ライブドア」「徹底解剖村上ファンド」「シェールガス革命」「サプリメント」「鬱」「認知症」「MBO」「ローランド」「減損の謎、IFRSの不可思議」「日本郵政株上場」「東芝危機」「村上、再び。」「村上強制調査」「ニケシュ電撃辞任」「保険に騙されるな」「保険の罠」の特集を企画・執筆。『トリックスター 村上ファンド4444億円の闇』は同期である山田雄大記者との共著。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事