オープンな組織が「無能な社員」を駆逐する イノベーションが起きる組織の違いとは?
――著書で「ピーターの法則」に触れている。「階層社会で、人は能力の限界まで昇進を重ね、それぞれ無能になる階層に達する。すると、多くの役職を職責の果たせない無能な人間が占める。仕事は、まだ無能となる階層に達していない人間が行う」とした法則は、かつて日本でも話題となった。レッドハットでもこの法則が働くことはあるのか。
オープンな会社のリーダーになるには、面と向かって「それは間違っている」と言える人かどうかが重要だ。CEOの私でも「この方向は違う」といったことを社員に言われている。
会社にふさわしくない人の場合、周囲から声高に「間違っている」「これは違う」などと批判されると、本人はいづらくなり、自ら辞めていく。周囲から受け入れられない人は責められ、淘汰される。オープンな組織というのは、自然淘汰の機能が働く組織ともいえる。
階層とオープンのバランスをどうとるか
――レッドハットにおけるピーターの法則は「無能になると居場所がなくなる」「居場所がなくなると自発的に辞めていく」ということか?
社員の中には「こんな会社はばかげている。混乱の極みだ。みんなに意地悪される」と辞めていく人と「まさしくこういうような場所を求めていたんだ」と水を得た魚のように生き生きする人と、二通りに分かれるようだ。
――レッドハットも大所帯となり、階層化は避けられないのでは?
今は1万人体制。これだけ大きくなると、ある程度の階層構造も必要だ。四半期ごとに決算を出さなければならないし、トップダウンで決定することもある。上場企業として秘密も守らなくてはならない。一方、ボトムアップによるオープンな意思決定、イノベーションを目指した意思決定も必要だ。どうバランスを取るかが重要になっている。
会社に変化がなく安定している場合、階層構造はさまざまな問題に対して効率的に対処できる。計画を立てて実行し、徐々に改善していけばいい。ただ、変化への対応力は弱くなる。一方、階層のない組織では、イノベーションや変化に対応する力は高いが、効率が悪くなる。完全な階層構造と完全なオープンの間のどのレベルを目指すかは、それぞれの会社が決めることだろう。
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