日本の「1人あたり」輸出額は44位に過ぎない 本当に「ものづくり大国」といえるのか
英国に生まれた私は、26年間、日本に住み続けています。人生の半分以上の期間を、この国で暮らしてきました。私を受け入れてくれた日本という国に恩返ししたい一心で、あえて「苦言」を呈させていただいているのです。もっとも、私にとってはただ単に事実を論じているだけですので、「苦言」だとも思っていないのですが。
さて、私の立ち位置をはっきりさせていただいたところで、本題に入りましょう。今回のテーマは、「ものづくり大国・日本」が誇る「輸出」についてです。
日本は本当に「ものづくり大国」なのか
米国中央情報局(CIA)によりますと、2015年の日本の輸出額は世界第4位です。この実績を基にして、「いまだにメイド・イン・ジャパンは世界で高く評価されている」という主張をされている方も多くいます。
もちろん、「世界第4位」というポジションは素直にすばらしい実績だと評価すべきですし、このデータを主観的な視点で分析すれば、そのような主張へと結び付くのはよくわかります。
しかし、このデータを別の角度から見てみると、やや違った景色が見えてきます。
確かに、日本は輸出の絶対額では「世界第4位」です。しかし、その輸出額は、ドイツの輸出額の48.3%にすぎません。日本の人口はドイツの約1.57倍であるにもかかわらずです。
お隣の韓国とも比較してみましょう。日本の輸出額は韓国の1.17倍です。日本の人口は韓国のおよそ2.5倍もあるというのに、です。
何を言わんとしているのか、もうおわかりでしょう。経済は人口と生産性によって構成されます。約1億3000万の人口を擁するこの国の経済規模から考えると、ドイツより少ない「世界第4位」という輸出額は、それほど高い実績だと考えることはできないのです。
日本では、「1人あたりの輸出額」というデータを見たことがありませんが、海外にはそのようなランキングが存在します。そこで、最新のデータを基にして、算出し直してみました。きっと驚かれるのではないでしょうか。
世界の上位100カ国の中で、総輸出額では第4位の日本が、1人あたり輸出額となると「第44位」に転落しているのです。同じ「ものづくり大国」といわれるドイツは第14位で、韓国は第24位です。イタリアは第32位、イギリスは第35位、スペインは第40位です。日本は技術レベルが高い国なのに、これらの国と比べて、1人あたり輸出額が低いのです。
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