貧しい農家の生産量は少しの支援で増やせる

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公的資金援助システムの再構築が必要だ

歴史が教えているように、最も貧しい農家が低収穫と貧困というわなから抜け出すためには政府の支援が必要である。農家が単純な技術を獲得できるように支援し、それによって所得が増えれば、銀行に預金口座を開設し、担保となる資産を蓄積することができるようになる。政府がせいぜい5年程度の一時的な支援をするだけで、農家は富を築き、直接あるいは銀行から融資を受けて市場から種子や肥料を買えるようになるだろう。

貧困国の政府系農業銀行は種子や肥料の購入資金を貸すだけでなく、耕作に関するアドバイスをし、新種の種子を普及させてきた。種子などの購入資金の貸与は、貧しい農家が貧困から脱却し、食糧支援に依存している状況から抜け出すのを手助けする重要な役割を果たしているのだ。もっとも、資金を必要とする農家にではなく、豊かな農家に公的資金を割り当てるという濫用も行われているが。

80年代と90年代に起こった国際的な債務危機の際、IMF(国際通貨基金)と世界銀行は貧しい食糧品輸入国に対して、公的な農業支援システムの廃止を強制した。貧しい農家に対して自助努力をするように言い、“市場の力”を通して種子などを購入するように指示した。これは重大な失敗であった。なぜなら、そうした“市場の力”など存在しないからである。

その結果、貧しい農家は肥料も種子も手に入れる方策を失ってしまった。銀行から借り入れもできなくなった。世銀は昨年、長期的な農業政策に関する内部評価の中で、こうした過ちを認めたのである。

2ヘクタール以下の農地しか持っていない最貧国の小規模農家が高収穫の種子や肥料、灌漑用機器を入手できるようにする支援を行う公的な金融システムを再構築する時が来ている。マラウイ共和国は、過去3年の間に公的金融システムを構築し、食糧品生産を2倍に増やした。他の低所得国も同国に学ぶべきである。

ロバート・ゼーリック新総裁の指導の下に世銀は、こうした新しい政策を資金的に支援する意向である。もし世銀が、小農家が種子などを入手するのを支援できるように貧しい国に資金援助を行えば、こうした国は短期間で農業生産を増やすことができるだろう。

中東の産油国を含む豊かな国の政府は、世銀のそうした新しい努力を支援するために資金を提供すべきである。世界は、アフリカの低所得国と同じような状況に置かれているハイチなどの地域で、今後5年間に収穫量を倍増するという現実的な目標を設定すべきである。世銀と贈与国が、最も貧しい農家の緊急に必要としている事柄に直接目を向ければ、この目標は達成可能である。

ジェフリー・サックス
1954年生まれ。80年ハーバード大学博士号取得後、83年に同大学経済学部教授に就任。現在はコロンビア大学地球研究所所長。国際開発の第一人者であり、途上国政府や国際機関のアドバイザーを務める。『貧困の終焉』など著書多数。

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