独ワーゲン「独り負け」の日本市場で巻き返し 人気のSUVからEV、ディーゼルまで続々投入
「今年は反転攻勢の年にする。その象徴となる第一弾がティグアンだ」――。
自動車大手、独フォルクスワーゲン(VW)の日本法人、フォルクスワーゲン グループ ジャパンのティル・シェア社長は1月17日、コンパクトSUV(スポーツ多目的車)「ティグアン」の新車発表会でこう宣言してみせた。
日本市場で屈辱の3位転落
VWグループは2016年、全世界でみると主力の欧州と中国が好調で前年比3・8%増の1031万台と過去最高を記録。2015年まで4年連続首位だったトヨタ自動車は同1%減の1009万台の見通しで、VWがトヨタを抜き初めて年間で世界首位となるのが確実視されている。
だが、日本市場に限ればVWは不振だ。2016年のブランド別の年間販売台数では、同じドイツ勢のメルセデス・ベンツが前年比3・4%増の6万7386台で2年連続首位、3位から2位に浮上したBMWも同9・4%増の5万0571台と好調だった一方、VWは同13・8%減の4万7234台と大台の5万台を下回り“屈辱”の3位に転落した。
2015年9月に発覚したディーゼル車の排ガス不正問題では、当該車種のディーゼルモデルが日本ではなかったにもかかわらず、ブランドイメージが悪化。新型車の発表の少ない端境期も加わり、輸入車大手で独り負けとなった。さらにVW日本法人を率いてきた庄司茂社長がライバルの日産自動車に転じるなど、混乱もあった。
こうした中、今回発表したティグアンは市場が伸びているコンパクトSUVであり、待望の新車だ。初代が日本で発売されたのは2008年。それ以降、日本の累計販売台数は1万5000台に上り、およそ8年ぶりのフルモデルチェンジとなる。価格は360万円から。現行車より全長を70ミリ、全幅を30~50ミリ長くして室内空間を大幅に拡大する一方、全高を35ミリ低くしてスポーティなデザインを両立させた。
シェア社長は「ティグアンはドイツでは常にセグメントリーダーだ。日本でも輸入コンパクトSUVで強いポジションを維持してきた」と強調したうえで、「世界170カ国以上で販売する『ゴルフ』、『パサート』、『ポロ』に続くVW4番目の主要プロダクトになっている」と説明する。
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