独ワーゲン「独り負け」の日本市場で巻き返し 人気のSUVからEV、ディーゼルまで続々投入

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「eゴルフ」。日本でのEV投入は初めてとなる(写真:フォルクスワーゲン グループ ジャパン)

2017年はそのほかも主力車種の日本投入が目白押しだ。6~7月には小型車「ゴルフ」の電気自動車(EV)である「eゴルフ」を日本に投入することを明言。2016年の米ロサンゼルスショーで発表した新モデルで、1回の充電で走れる距離は最大300キロになる見込みだ。VWは2014年にEVの日本導入を発表したものの、充電方法が国内の急速充電器のすべてに対応していないことが判明し見送っていた。一方、ゴルフやパサートでプラグインハイブリッド(PHEV)を拡充してきた経緯があり、日本でのEV参入は今回初めてとなる。

ディーゼル燃費不正を受け、VWは今後、EVをエコカーの主軸にする考え。2025年までにeモビリティの主要な量産車メーカーになるとしており、日本市場でもEVで攻勢をかける狙いがありそうだ。

約20年ぶりにディーゼル車も投入

一方、中型車「パサート」のディーゼルモデルも2017年内に追加投入する予定だ。ディーゼル車の日本への投入は約20年ぶりとなる。シェア社長は「日本のディーゼル市場は伸びている。国産車も輸入車もディーゼルを投入している。今後も日本でディーゼルの高いパフォーマンスと足回りの良さが受け入れられ、需要は伸びるだろう」と自信を示した。

このほか、2017年はゴルフのビッグマイナーチェンジや、小型車「up!」など人気車種の投入が少なくとも5車種以上予定されている。シェア社長は「今年はVWのディーラーに足を運ぶ人が増えると思う」と鼻息は荒い。

新車がそろう中、ソフト面の改革も急いでいる。昨年からショールームで待つ姿勢ではなく、社員が積極的に外に出て行き、顧客との接点を増やして信頼回復を目指す活動を推進。これまでになかった全国規模での試乗会開催や、オーナー向けの愛知・豊橋本社でのツアーなどイベントを多数行う中で、顧客の声を直接聞いて回っている。「台数を追うよりも、顧客満足度でナンバーワンを目指したい。顧客サービスをしっかりやれば、台数もついてくる」(シェア社長)。

一度傷ついたブランドの信頼を取り戻すのは簡単なことではない。日本の輸入車セグメントが足元で活況を呈する中、出遅れたドイツの名門は再び輝くことができるのか。

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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