北朝鮮への経済制裁が効かない本当の理由

制裁が目的化し、金正恩のダメージは少ない

このような変化を受けて、北朝鮮の高位幹部らは、外部から外貨資金(国家資金)を持って外貨稼ぎをするよりも、北朝鮮内の市場に目を向けたほうがいい、と考え始めた。北朝鮮内部の市場との取引のほうが、カネを稼ぐにはより都合がいい。ただ、北朝鮮の市場は、一言で言えば伏魔殿で、高リスク・高リターン。外貨資金を利用し、国内市場と連携しての金儲けでトラブルが頻繁に発生するようになり、国家資金で商売をしている高位外交官や貿易関係者は苦境に直面するケースがよく発生している。

そんなトラブルから責任を回避するため、外交官らは脱北を決心するようになっている。われわれは発想を転換して、今までにないアイデアを利用すべきと考える。北朝鮮の市場がより拡大すれば、脱北する海外在留者が増えるようになって、彼らと連携して北朝鮮内部の権力者を動揺させることができるのだ。

圧力と対話を並行させる戦略が必要

結局、北朝鮮の核問題を解決するための方法論として、経済制裁という「圧力」と内部の変化を牽引する「対話」を並行させる戦略が必要だ。北朝鮮の軍事的挑発には国際的な圧力を強化する一方、人道的なレベルの問題(たとえば離散家族の再会、国軍捕虜の遺骨問題など)を利用して国際的な連帯を構成し、北朝鮮との対話のチャネルをおのずとつくりあげていくことが効果的だろう。

少なくとも5年程度の目標を設定し、北朝鮮内部の変化を拡大・深化させる戦略を駆使していく。繰り返される北朝鮮の核実験と経済制裁という悪循環を断ち切るには、他のレベルでのアプローチもすべき。このためには北朝鮮内部の変化を綿密に把握していくことが必要である。敵を知り、己を知ることが、百戦不敗につながるのだ。

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