フリーゲージは四国新幹線の救世主となるか? FGTの秘めたる可能性

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FGTの課題とは

FGTには課題もある。台車が重く線路が傷みやすいとして、JR西日本は08年に山陽新幹線への乗り入れに否定的な見解を示している。もっとも、その後、同社が今年2月に発表した中期経営計画では、2017年度までに自前でFGTを開発すると表明した。これは北陸新幹線大阪延伸をにらんだ対応であるが、当然、山陽新幹線への乗り入れる「四国新幹線」も視野に入れているだろう。鉄道運輸機構でも試験結果を踏まえた新たなFGTを開発中であり、新車両では現行車両の欠点が改善されている可能性もある。

根本的な問題は技術的な問題というよりも、むしろ四国4県や経済界が、高速運行できるホンモノの新幹線を望んでいることだ。背景には北海道新幹線が開通すると、四国だけが新幹線空白地帯として取り残されてしまうという危機感もあるに違いない。

今年6月には、四国知事会議で新幹線導入に向けた基礎調査を行うことが決定された。FGTと比べ、新幹線となると新線建設や線形改良など多額の投資が必要で、実現は容易ではない。だからといって、FGTで満足してしまうと、将来の新幹線導入への道筋がストップしてしまうかもしれない。一見、便利なFGTだが、悩ましい問題を抱えているのである。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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