仕事中の「5分間ほっつき歩き」の意外な効用 集中力が途切れる心配はなし
まず、デスクワークに従事する30人の健康状態(心拍数やストレスホルモンのレベルを含む)を調べ、どのくらい元気か、疲れているか、ハッピーかなどを数値で答えてもらった。また、ビデオゲームをやってもらい、集中力や判断力を調べた。
その後30人は、6時間働くシミュレーション実験を3回受けた。1回目は、トイレ以外の休憩はなしで6時間座り続ける。2回目は、最初に30分間歩き回った後、5時間半座り続ける。3回目は、基本的に6時間座ったままだが、1時間ごとに5分だけトレッドミルで歩く。
毎回シミュレーションの前と後には、ストレスホルモンの値を調べたほか、1日を通して、そのときの気分や疲労感や食欲も調べた。また、毎回最後には思考力を調べるコンピュータテストが行われた。
その結果、仕事前の30分であれ、1時間に5分ずつであれ、歩く時間があるほうが6時間ノンストップで座り続けるよりも、はるかにエネルギッシュに仕事に取り組めることがわかった。
さらに満足感や疲労感といった要素も加えると、1時間に5分歩くほうが、仕事前にまとまった時間歩くよりもプラス効果が見られた。短時間だが頻繁に歩くようにすると、被験者の満足感は高く、疲労感は低く、空腹感は大幅に低かった。
重要なのは長く続けられること
一方、認識力とストレスホルモンのレベルは、1日じゅう座っていようが、ときどき立ち上がって歩こうが変わりはなかった。
この結果は、「ごくわずかな活動でも、1日に何度もやらせることが、オフィスワーカーの健康状態を改善する簡単な方法になる」ことを示唆していると、J&Jヒューマン・パフォーマンス研究所の設立者であるジャック・グロッペルは語る。
また今回の実験では、1時間ごとに歩く時間をつくっても、とりたてて疲労感や空腹感は高まらないし、集中力も低下しないことがわかった。ということは、少しばかり従業員が歩く時間をつくっても、生産性は低下しないことになる。
ただし、これはごく小規模な研究で、期間も短く、もっぱら被験者の主観に基づくから、「職場で歩くことのプラス効果」が立証されたとは言いにくい。それでも「体を動かすことが重要なのは明白だ」と、グロッペルは語る。
2017年の「新年の決意」に、「1時間に5分は歩くこと」を加えてみてもいいかもしれない。エレベーターではなく階段を使うのでもいいし、オフィス内を歩き回るのだっていい。ポイントは気軽にできて長く続けられることだ。
(執筆:Gretchen Reynolds記者、翻訳:藤原朝子)
© 2017 New York Times News Service
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