米12月雇用15.6万人増、予想下回る伸び 2016年通年では216万人の雇用を創出
[ワシントン 6日 ロイター] - 米労働省が発表した昨年12月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が15万6000人増と、伸びは市場予想の17万8000人増に届かなかった。ただ、賃金は大きく伸びており、労働市場の勢いが持続していることを示した。今後成長が加速し、米連邦準備理事会(FRB)による一段の利上げを後押しそうだ。
10・11月分は当初から1万9000人分の上方修正となった。
15万6000人の雇用増は、労働市場への新規参加者を吸収するのに必要な水準を大きく上回っている。イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長はこれまで、労働年齢人口の伸びに追いつくのに、米経済は月間10万人弱の雇用を創出する必要があると述べている。
プランテ・モラン・ファイナンシャル・アドバイザーズの最高投資責任者(CIO)、ジム・ベアード氏は「雇用創出、および全般的な労働市場の状況は引き続き底堅い。米次期政権下でインフラ投資や減税などの財政刺激の実施が見込まれる中、2017年も米雇用は堅調に伸びるだろう」と話す。
時間当たり平均賃金は前月比0.4%(0.10ドル)増えた。ただ日数要因で押し上げられた側面もある。前年同月比では2.9%増え、伸びは前月の2.5%増から加速、2009年6月以来の大きさとなった。インフレ率がFRBの目標とする2%の水準に達するには、賃金は3.0─3.5%増加する必要があるとエコノミスト指摘しており、12月の伸びはこの水準に迫った。
ドイツ銀行の為替分析部門責任者、アラン・ラスキン氏は「これは次期政権下で見込まれる財政刺激が実施される以前のタイミングで、FRBがすでに後手に回っている可能性を示している」とし、原油価格による影響がインフレ圧力を高める方向へと変化したことを踏まえるとなおさらだと述べた。
失業率は4.7%と、9年ぶりの低水準だった前月の4.6%から小幅上昇した。ただ、労働人口の増加が背景にあり、労働市場に対する信頼感が改善していることを示唆している。
より広範なU‐6失業率は0.1%ポイント低下の9.2%と、約8年半ぶりの水準をつけた。
労働参加率は0.1%ポイント上昇の62.7%だった。
12月は全般的に雇用が伸びた。製造業は1万7000人増え、5カ月ぶりにプラスに転じた。一方、建設は4カ月ぶりにマイナスとなり、3000人減少した。
小売りは6300人増と、伸びは11月の1万9500人増から縮小した。
人材派遣は1万5500人減と、1月以来の大幅な落ち込みとなった。
半面、教育・ヘルスサービスは7万人増え、2月以来の大幅な伸びを記録した。政府は1万2000人増えた。
2016年通年では、米経済は216万人の雇用を創出した。月間ベースは平均18万人増と、伸びは2015年の22万9000人増を下回った。伸び鈍化は、米経済が完全雇用に近いことと整合しており、とりわけ建設セクターなど、雇用主は適切な人材を確保することが困難と報告している。
MUFGユニオンバンクの首席エコノミスト、クリス・ラプキー氏は「熟練技能者を中心に、人材源はほぼ枯渇している。適材がいないため、製造業の雇用を取り戻すことはできない」と話す。
ボストン・カレッジのロバート・マーフィー経済学教授は「これはオバマ政権下で最後の雇用統計であり、米経済を金融危機から救った大統領の功績を確かなものにする」と述べた。オバマ政権下で、米経済は合計1130万人の雇用を創出した。
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