電子レンジの仕組み、あなたは言えますか? 物事の仕組みや成り立ちが1冊でわかる
すべての人間が一カ所に集まってジャンプしたり、光速に近いボールを投げたらどうなるか? といった現実的にはありえない質問に対して、ユーモアたっぷりのイラストと科学的に正確な解説を添え、愉快に物理や数学のおもしろさを体験させてくれた前作『ホワット・イフ』。
その著者ランドール・マンローによる最新作が、本書『ホワット・イズ・ディス?』である。こちらもまた、一冊家に置いておくだけで世界の仕組みそのものを抱え込んだような気分になれる逸品だ。
今回は副題に「むずかしいことをシンプルに言ってみた」と入っているように前作とは趣向を大きく変えており、著者の言葉を借りれば『これは、絵とやさしい言葉を使った本だ。ページごとに、大事なものやおもしろいものの仕組みや成り立ちを、英語でいちばんよく使われる1000語だけで説明している』という一冊になる。存分にイラストと解説を描きこむために本の大きさは大型の図鑑サイズとなり、国際宇宙ステーション、カメラ、アメリカ合衆国憲法、電子レンジなど身近な物から遠い物まで、その仕組みや成り立ちをページをいっぱい使って解説してくれる。
物事の仕組みや成り立ちを理解する
この解説がまた素晴らしく、1ページめくる度にいかに自分が当たり前に使っている物や概念の仕組み/理屈をよくわかっていなかったのかを思い知らせてくれるのだ。たとえばカメラはどのような仕組みで絵を残しているか応えられるだろうか? 「電子レンジ」といえば多くの人がそれが何なのかを知っていると答えるだろうし、簡単に使ってみせるに違いない。しかしその仕組み──どのように温めて、時に爆発してしまう理屈を把握している人はどれだけいるだろうか?
物に名前をつけることは便利だが、あまりに簡略化された名前をつけると、その物自体について疑問を覚えなくなるという弊害がある。たとえば本書では「電子レンジ」は1000語に入っていないので、「物を温める電波箱」と呼称される。多少長い呼び名になったが、これでこの言葉を使う時に少なくとも「電波を使って温めるんだな」ということを理解するに違いない。難しい言葉を(まあ、電子レンジはそう難しくはないが)あえて封印することで見えてくるものもあるのだ。
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