マツダの新型「CX-5」はなぜ値上げしないのか

強豪ひしめくSUV市場、マツダ流の戦略は?

かつてマツダの経営危機を救った「CX-5」。2代目となる新型CX-5は年間の世界販売40万台を計画している(撮影:梅谷秀司)

「デザイン、運転の楽しさ、快適性、静粛性、安全性能をさらに一段高いレベルに引き上げた。この車をスタートにビジネス成長を確実にする」――。マツダの小飼雅道社長は強い期待を語る。

マツダは12月15日にSUV(スポーツ多目的車)の主力モデル「CX-5」の新型を発表した。2017年2月に日本を皮切りに世界120か国に投入していく計画だ。

経営危機を救った初代CX-5

2012年に発売した初代CX-5はマツダの復活劇の立役者だ。当時、同社はリーマンショックの影響で4期連続の最終赤字を計上。環境性能と走行性能を両立させた「スカイアクティブ」技術を初採用し、野生動物をモチーフに躍動感あふれるデザインテーマ「魂動」(こどう)も初めて導入した「新世代商品群」となる。

現在、CX-5はマツダの世界販売の4分の1を占める基幹車種にまで成長。さらに「新世代商品群」はCX-5以降も軒並みヒットし、マツダブランドの存在感を高めることに成功した。

発表直後の週末に、東京駅で実車を展示。多くの人が足を止めた(記者撮影)

新世代商品群の投入が一巡し、打順が再び「CX-5」に戻ってきた。5年ぶりの刷新で基幹車種はどのように変化するか、マツダユーザーならずともその仕上がりに注目が集まった。

開発責任者を務めた児玉眞也・商品本部主査が「変化を追い続けると深く熟成するステージには入れない。『変えない挑戦』と言えるかもしれない」と語るように、CX-5は車としての熟成に力を入れた。

特にこだわったのはデザインとカラーだ。「色と造形は表裏一体」の考えのもとに、「魂動デザイン」の造形をより立体的にし、造形をより引き立たせるための色を開発した。新世代商品群を機に採用された鮮やかな「ソウルレッド」はマツダブランドの象徴ともいえる色で、2割から3割の顧客が選択している。この色の鮮やかさを20%、深みを50%引き上げた。

走行性能の引き上げにもこだわった。ドライバーのハンドル操作に応じてエンジン出力を細かく調整し、カーブ時の揺れを抑える技術を採用。不快な揺れを減らし、乗り心地を良くした。プラットホーム(車台)の床の部品の約半分を改良したり、新しいものに交換したりして、衝突安全性や乗り心地を高めている。

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