2017年の鉄道業界は何が起きるのか? 観光列車人気は続き、廃止した路線の復活も

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観光列車ブームは2017年も続く。観光列車の本家ともいえるJR九州は3月から熊本―人吉間に「かわせみ やませみ」を投入し、観光列車のラインナップを充実させる。JR四国は「伊予灘ものがたり」の成功に続き、「四国まんなか千年ものがたり」を4月から運行開始する。JR東日本も小海線で新しい観光列車を7月から導入する。私鉄では伊豆急行が「ザ・ロイヤル・エクスプレス」を横浜―伊豆急下田間に走らせる。車両デザインを手掛けるのはJR九州の一連の観光列車のデザインを手掛ける水戸岡鋭治氏。伊豆急の親会社である東急電鉄も運営を担う。

東武鉄道は夏から鬼怒川線にSL「大樹」を走らせる。機関車はJR北海道から借り受け、車掌車はJR貨物とJR西日本から、客車はJR四国から譲り受けた。全国の鉄道会社の力を集結したビッグプロジェクトだ。また、東武の26年ぶりの新型特急「リバティ」は日光・鬼怒川線も走り、観光面で果たす役割も大きい。

廃線に怯える自治体に朗報

レールが途切れた可部線が復活延伸する(2011年記者撮影)

2015年、2016年は新幹線で新規路線が開業した。2017年はJRの在来線の路線が延びる。広島市内を走るJR可部線が1.6キロ延伸するのだ。河戸帆待川、あき亀山の2駅も新設される。

たった1.6キロとはいえ、延伸の意義は大きい。もともと可部線は県内の奥まで営業していたが、利用者低迷により2003年に可部駅以遠の46キロを廃止してしまった。今回の延伸は廃止した路線の一部が復活されることを意味する。JRが廃止した路線を再びJRの路線として復活した例はこれまでにない。可部線の場合は沿線人口が大きく増えたという事情があるものの、北海道を中心に廃線の危機に怯える自治体にとっては、環境が好転すれば路線復活もありうるわけだ。いたずらに廃線反対を声高に叫ぶのではなく利用者を増やす努力を地道に続けていくのが得策だ。

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