「エネルギー優等生」日本人に起きている変化 若い人ほど気候変動に無関心?
日本の場合、地球温暖化や海面上昇の脅威は誰もが認識しているようだが、エネルギー政策の見直しは簡単に進みそうにない。その障害の1つとなっているのが、若者における「気候変動よりも経済のほうが優先課題だ」という意識だ。
政府は「クールビズ」や「ウォームビズ」など、ビジネスパーソンに省エネを喚起するキャンペーンのほか、省エネ家電への買い替えを促進する「COOL CHOICE(クールチョイス)」というキャンペーンも展開してきた。
さらに若者の関心を引くため、シェアリングエコノミーが環境に与える影響の研究にも着手した(最近の若者はマイカーやマイホームにこだわらなくなったとされるためだ)。キャンペーンのマスコットとして、初音ミクのような3Dキャラクターのデザインも募集している。
気候変動はデカすぎる課題
だが、こうしたキャンペーンは今のところ、多くの若者の心を動かすにはいたっていないようだ。早稲田大学の大学院でジャーナリズムを学ぶスイ・ウィリアム・マコーリー(24)は、「どうでもいいって感じだな」と素っ気ない。仙台で育ったマコーリーは、「寒いときはウィスキーを飲んであったまろう、って言うなら実践するけどさ」と語る。
マコーリーの見方は、日本人の意識の世代間ギャップを反映しているようだと、国立環境研究所統合環境経済研究室の青柳みどり主席研究員は指摘する。フォーカスグループの形でミレニアル世代の意見を聞くと、日常生活やキャリア、社会問題に対する「絶望感をいつも感じる」と、青柳は語る。それは「失われた20年」と呼ばれる長い景気低迷期に育ったせいかもしれないと、彼女は言う。
実際、日本の学生や22〜26歳の社会人に話を聞くと、気候変動問題について似たような反応が返ってくる。気候変動問題なんて巨大すぎて変化を起こすのに時間もかかる。自分たちにはどうしようもない。メディアも大して騒いでいない。第一、自分はもっと重要な問題で頭がいっぱいだ――。