岡西さんが福岡に帰って頼ったのは小学生の同級生。福岡の地銀につとめていた同級生と対話を重ねてクレジットラインを徐々に増やしていったそうだ。
富裕層の特徴を示す金銭感覚
さて、岡西さんは東京にもよく来る。「当社の東京事務所は羽田から近いのでぜひ立ち寄ってくださいね」と言うと、「違うんだわ、成田に着くんだわ」と。「ああ、じゃあ箱崎までバスでしょうから、そこからの方が当社は近いですよ」と返すと、「いやそれは高いから。東京駅まで1000円でいけるバスが多く出ているから、それに乗る」と答えた。
要するに、福岡から成田まではLCC(格安航空会社)を利用し、予約もできない格安バスで成田から東京駅まで移動する。要するにそれがもっとも割安なのだ、と。実際には福岡から羽田まで格安航空券で上京し羽田から電車で都心まで出てきても往復1万円程度の差だ。しかし岡西さんは「この1万円の差」を割高とみなす、多くの富裕層に通じる感覚の持ち主でもある。
割高が嫌いで割安が好き、という富裕層の特徴を示すもうひとつのわかりやすいエピソードがある。「花粉症の時期は、沖縄にいるんだ。毎日ゴルフできる。2月から3月だから時期的に滞在費もゴルフ代もとっても安いし、なんといっても花粉症の不愉快さから逃れることができる。2カ月くらいは行ってるね」。2カ月沖縄にホテルを借り、毎日ゴルフをして、毎日外食していれば、実際には250万円くらいかかるそうだ。
本人はそれを「割安」という。結局のところ、その経験がおカネでは買えないものだから高額になっても割安ということになるようだ。これもまた多くの富裕層に共通してみられる傾向だ。特に岡西さんの場合はサラリーマンも経験しており、「ビジネスホテルに泊まるのは当たり前、それで十分だよ」という普通の感覚の持ち主でもある。
ちなみに岡西さんが経営していた貸金業事務所は、いわゆるワンルームマンションを事業所として活用していたものだった。「家賃は月4万円じゃけん、ここから動けんよね」。おカネを使わないわけではまったくない。しかしムダ金は使わない。これが岡西ファミリーの資産を形成した唯一最大の理由だった。
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