デジタル広告収益、「2強が総取り」は本当か グーグルとフェイスブックが圧倒的?
総収益と純収益の区別も気をつけないといけないポイントだ。フェイスブックとグーグルがすべてのデジタル広告成長を受け取っているとする調査は、総収益を扱っている。つまり、それぞれのチャンネルをどうやってお金が流れているかをトラッキングしているということだ。
これでは、収益が実際にどこが受け取っているのかを知ることはできない、しかし、それでも総収益の流れをトラッキングすることは重要だ。グーグルとフェイスブックが総収益の成長をすべて受け取っているということは、パブリッシャーがバイヤーとの直接の関係性を失いつつあることを意味すると、ピボタルのワイザー氏は説明する。この流れの一部をパブリッシャーが受け取っていたとしても、彼らは取引の内容をコントロールする力をもっていない。資金はプラットフォームを通じて流れているのだ。
純収益ではなく総収益をリサーチャーたちが追いかけるのには、ほかにも理由がある。「純収益を把握しようとすると、かなりの部分を推測しないといけない。それにたいして総収益の場合は、蓋然性の高い数字を出すことができる」と、ワイザー氏は語る。
純収益を予測する会社のひとつがeマーケターだ。彼らは、2016年の世界規模でのデジタル広告業界における、純収益成長の57.6%は、グーグルとフェイスブックが受け取るだろうと予測している。
純収益の推定額を得るために、eマーケターはフェイスブックやグーグルのさまざまな収益シェアの仕組みについて、バランスを図らなければいけなかった。シニア予測アナリストであるマーティン・ウトレラス氏によると、公になっている情報に加えて、彼らはコンテンツクリエーターやエージェンシーとのインタビューから得た、収益配分の仕組みについての要因を考慮に入れているとのことだ。
「たとえば、あるアプリがグーグル検索を使って広告収益を得ているとしたら、その会社はそこでお金を得ていることになる。それはグーグルのものではない。そういった参加者たちを無視することはできない、だから純収益ベースで調査しているんだ」と、ウトレラス氏は語った。
費やされた資金はどこに行くのか
eマーケターが出す純収益の58%という数字と、ピボタルの総収益の98%という数字の差は、相当な金額である。
「広告の申し込みが入れば、それが直ちに、フェイスブックやグーグルに行くというわけではない」と、ホライズン・メディアのデジタル投資部門の副社長であるサラ・バー氏は語る。「業界全体の点と点を結んでみた場合、(フェイスブックとグーグル)はあらゆる広告購入に参加しているように見える」。
しかし、純収益が正確かどうかを計算するのは非常に難しい、それだけでなく資金がどこに行っているのかを知るのも非常に難しいのだ。YouTubeだけをとってみても、何千ものコンテンツパートナーたちが存在していると、ウトレラス氏は指摘する。
これらの数字ひとつ、どれでも調査しようとすると、クオリティの点で非常に幅があることが分かる。しかし、調査しようとすらしなかったら、人々はすべての数字が同じ意味をもっていると思ってしまいがちだ」と、ワイザー氏は言う。
Ross Benes(原文 / 訳:塚本 紺)
DIGIDAY[日本版]の関連記事
「その他」はマイナス成長!?:Google&Facebookの寡占が加速
広告最大手WPPが独自ID構築へ:Google、Facebookに対抗
「Google&Facebookは気にするな、むしろその逆張りを」:米エージェンシー360iのCEO
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら