「ポルシェ911」の最新仕様は一体どんな車か 安心感と気持ちよく感じるツボを押さえた
はたして新世代の911 カレラSはどんなクルマになったのか。500Nmもの大きな最大トルクが1700rpmという低い回転域から出はじめるようになったことで、アクセルペダルに軽く足を置くだけでぐいぐいと加速していく感覚だ。その加速がいつまでも終わらない速さの感覚はさすが高性能のグランドツアラーだと感じる。ステアリングホイールはどっしりと落ち着いていて、すばらしい安心感がある。
カレラSはカレラと基本的に同じ3リッターだが、ターボチャージャーの効率がよりよくなり、同時にエンジンマネージメントシステムとエグゾーストシステムが専用となる。それであらゆる領域においてよりパワフルになっているのだ。1.5トンを切る車重に対して充分すぎるパワー感で、しかしやりすぎでない。見事にドライバーが気持ちよく感じるツボを抑えている。
富士スピードウェイでは小さなコーナーではミドシップの718系2シーター(ボクスターとケイマン)のほうが操りやすいのは事実だ。でもコーナーから立ち上がりストレートへという時の速度のピックアップのよさにおいて、911 カレラS(PDKで1584.1万円)ははるかに上をいく。
耳を澄ますと背後から6気筒エンジンの心地よいビートが聞こえてくるのも、このクルマならではの魅力である。911 カレラ(同1309.1万円)はもちろんそれはそれでいいクルマだけれど、275万円の価格差を正当化する理由はありそうだ。
911 ターボSは圧倒的だった
ポルシェ 911といえばターボの存在は有名だ。1975年に初代が登場した背景には排ガス規制によるパワーダウンをカバーするためといわれているけれど、それからポルシェは停滞なくターボの開発を進めてきた。つねに最良の911はターボというひとがいるのは、トルクがたっぷりあるいっぽうで扱いやすく、最速のグランドツアラーだからだろう。
911カレラ系のエンジンが3リッターへとダウンサイジング(ポルシェジャパンでは“適正な排気量”という意味をこめてライトサイジングターボと呼んでいる)されたのに対して、911 ターボとターボSの6気筒エンジンの排気量は3.8リッターのままだ。さらにターボSでは、大型コンプレッサーホイールを備えた専用のターボチャージャーにより最高出力は580psにも達する(ターボ比で40psアップ)。