「テキサス新幹線」実現には3つのハードル リニアと並ぶJR東海の肝入りプロジェクト
現地時間12月1日にはダラス市で、このHTeCの事務所オープンハウス(地元関係者を集めての披露)が行われ、同時に同社の加賀山慶一社長並びに、JR東海の落合克典室長による記者会見があった。さらに2日にはTCPのティム・キースCEOの会見が行われ、その両方に参加する機会を得た筆者は日米双方の当事者から現状説明を受けることができた。
プロジェクトの構想は、完全に「日本方式の新幹線」を建設し営業するという計画だ。標準軌の線路に高速鉄道から長距離特急、通勤列車に貨物までを混在させてしまうのが米国式だが、この「テキサス新幹線」は完全に「専用線」として建設、ほかの車輌は排除し、厳格な定時運行を行うことで最高の安全性を確保するという、まさに日本の新幹線を作ろうとしている。
2022年開業へ、来年が正念場
路線に関しては、ダラス・フォートワース都市圏(人口710万人)とヒューストン都市圏(人口670万人)を結ぶ全長約240マイル(約385キロメートル)を結ぶことをまず目指している。
車両については、東海道・山陽新幹線に投入されている「N700系」をベースにした「N700−I Bullet」の導入が前提となっている。この「I」というのは「インターナショナル」の頭文字であり、JR東海が「N700系」をベースに海外展開を行っていく車両の総称である。従って、2018年に営業運転が予定されている新世代車両「N700S」の技術が搭載されることになるだろう。
営業最高速度は車両の性能を十分に発揮した時速330キロメートルを予定し、ダラスとヒューストンを90分で結ぶ。当初は1964年の東海道新幹線開業時と同じ30分ヘッド(間隔)で、8両編成の列車を走らせる。現在経済成長著しいテキサス州にあって、その中核2都市が結ばれることには、大きな期待がある。
現段階はフィージビリティ・スタディの後半というところだが、TCPのキースCEOの描く今後のスケジュールは、2018年着工、2022年開業という野心的なものとなっている。そこから逆算すると、2017年は大きなターニングポイントになるだろう。というのは、ここで以下の3つのハードルをクリアしていかねばならないからだ。
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