アドビが「2ケタ成長」を続けられる根本理由 変革を恐れないからこそ進化がある

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――アドビはこれまでに、マーケティング企業など9社を買収していますが、その成果は。

マーケティング事業の売上高は年率20%で伸びており、デジタルメディア事業も業界トップだ。それを考えると、どの買収も、その後の戦略も成功だったと言えるだろう。マーケティングの分析を行えるようにするには、分析ツールだったり、顧客管理だったり、製品で最もいいものを持っていないといけないので、この旅(サブスクリプション型への移行)に出る際に、各分野で最もいいソフトや製品を集めたいと考えた。もちろん、すばらしい技術だけでなく、すばらしい人材がいることも重要だった。われわれは統合後も、こうした企業の技術についてうまくやった。

「ただ買収すればいいわけじゃない」

――多くの企業は、買収した企業の製品が自社製品と合わなかったり、従業員やカルチャーが違ったりして苦労します。

マーケティング事業に関して言えば、2009年に買収したオムニチュアからきたブラッド・ランチャーがトップとして事業成長を引っ張ってくれている。顧客・従業員部門のトップを務めるドナ・モリスも、もともとは15年前に買収した企業の社員だった。つまり、アドビは企業を買収する場合、技術だけでなく、アドビでスキルを存分に発揮して活躍してくれそうな人がいることを重視している。

一部の企業は買収した後、従業員を削減して、自分の会社と”ミックス”すればいいと考えているが、それはアドビのやり方ではない。買収している数で言うと、アドビはほかのハイテク企業に比べるとかなり少ないが、(成功している)打率は相当高いはずだ。

――アドビがユニークなのは、成熟したハイテク企業の多くが買収によって新たな分野への進出や事業成長を行おうとしているのに対して、既存事業での買収がうまくいっている点ではないでしょうか。

われわれは、意味のない買収はするつもりがない。アドビが買収を決めるのは、その会社の技術や人によって既存事業や新たな分野で大きなチャンスがあると感じたときだ。そして、買収した後はしっかり成果を出すようにする。だから、売り上げの成長を続けるために、次から次、といったことはしない。そういう企業もあるが、それは、既存事業の成長が望めなくなっているからだ。

倉沢 美左 東洋経済 記者

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くらさわ みさ / Misa Kurasawa

米ニューヨーク大学ジャーナリズム学部/経済学部卒。東洋経済新報社ニューヨーク支局を経て、日本経済新聞社米州総局(ニューヨーク)の記者としてハイテク企業を中心に取材。米国に11年滞在後、2006年に東洋経済新報社入社。放送、電力業界などを担当する傍ら、米国のハイテク企業や経営者の取材も趣味的に続けている。2015年4月から東洋経済オンライン編集部に所属、2018年10月から副編集長。 中南米(とりわけブラジル)が好きで、「南米特集」を夢見ているが自分が現役中は難しい気がしている。歌も好き。

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