アップルは、どうして「日本」を重視するのか ティム・クックCEO「日本訪問」の舞台裏

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アップルのプレゼンテーションで、社会貢献に触れることが増えている。こうした姿も、モダンな企業のリーダーとしての側面をうかがわせる。
地球環境問題では「他社にもぜひ真似してほしい」という取り組みを紹介し、再生可能エネルギー100%で企業を経営するというゴールもあとわずかで達成可能となる。

Macにあらかじめ内蔵されているスイッチコントロールを使用し、ビデオ制作を行うサディ・ポールソン氏

また、知的財産権では創造へのコピーを許さない姿勢を貫き、多様性を重んじ、また人々のプライバシーやセキュリティに対して責任を持つ姿を国家を相手に示すといった場面も見られた。最新のMacBook Proを発表したプレゼンテーションでは、あらゆる人々のための製品を作ることを「アクセシビリティ」をテーマにアピールした。

スライドにも登場する脳性麻痺を患うビデオ製作者サディ・ポールソン氏にインタビューしたが、アップルのテクノロジーによって、自分にとっての制限は時間、すなわちすべての人類と同じ制限しかなくなった、と顔をほころばせたのが印象的だった。

背もたれに取り付けた2つのスイッチを追加するだけで、iMacで動く通常のmacOS Sierra上でビデオ制作ソフトFinal Cut Proを操ることができる。彼女自身の自己表現の道具であり、ビデオのスキルは同様の病気に悩む人々を鼓舞し、また可能性を伝える役割に役立てているという。

長期的な取り組みを続けるアップル

Apple Storeで行われた小中学生のアプリ開発者のイベントにて最年少8歳の日本の開発者との会話を楽しむクック氏

こうした取り組みは1日ではできない。それはiPhoneの普及も同じことで、クック氏も長期的な取り組みの中で、何ができるかを考えているという。たとえば、iPadアプリでSwiftプログラミングが学べる「Swift Playgrounds」アプリの提供は、未来のiPhoneアプリ開発者を育てる投資と見ることができる。iPhoneの発展の一翼を担ったのがアプリの充実であり、将来にわたってよいアプリが供給され続ける土壌作りを狙っているからだ。

アップルの価値は、テクノロジーにゆったりとしたスピードと、より長期的な視点を与えている点にあると考えている。大局的なテクノロジーと人々の間にいるのがアップルであり、その経営の中核にいるのがティム・クック氏だ。

同氏は、しばしば、次のように述べる。

「アップルの従業員は、地球でもっとも優れた製品を作ること、そしてわれわれが見ているよりもよい世界へと進むことに熱意を傾けている。われわれはとてもシンプルだ。世界で最高の製品を作り、人々の生活を豊かにすることに集中している」

言うとおりシンプルに、その目標を追求する姿は、世界の大きな変化の中でも、アップルが率先して作っていく人間のためのテクノロジーの姿に、期待を持たせるものだ。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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