慶應女子ハデ女がSFC地味女に「完敗」した日 東京カレンダー「慶應内格差」<7>

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向上心の尽きない沙羅。仕事はお父さんの影響だから…と常に控え目で欲のないリサ。

性格は全く違ったが、不思議と意気投合。沙羅にとっては3S以外で唯一の親友となった。

――来週末時間あったらランチしない?――

珍しくリサが誘ってくる。

――日曜なら空いてるよ。久々にアマンでも行く?――

「私真二さんと結婚して群馬に行きます。」

洗練された和の空間が印象的なロビーは2人のお気に入り。『ザ・レストラン by アマン』で食事をしていると、いつものように沙羅が最近デートした男について愚痴った。

「この間、医者と食事に行ったんだけど、待ち合わせが全然スムーズじゃなくて……。結婚相手にはいいと思うんだけど、デートがつまらなすぎて2時間で帰っちゃった。」

「沙羅にはやっぱり遊びの世界も知った大人の人が向いてるよね!実はそのことで、報告があるんだけど……」

急にリサが切り出してきた。

「じゃんっ。実はこの間プロポーズされたんだっ」

浮ついた話をいつものようにする沙羅に、7年も交際した相手とゴールインという堅実な話をかぶせてくるリサ。その手には、義母から受け継いだという大きなダイヤがキラキラ光る婚約指輪がはめられていた。さすがの沙羅も面食らう。

――7年付き合って何もないのだから、さすがにそろそろ別れるだろうと思ってたけど……――

「うっそ!!ついに?おめでとう!でも、仕事はどうするの?だって、真二さんって群馬が地場の政治一家でしょ?真二さんもそろそろ出馬に向けて準備始めるって聞いてたけど……」

「そうなの、一緒に群馬ついてきて欲しいって言われて。私会社辞めようと思う!」

「ハードワークに耐えながらキャリアアップしてきたのに、こんなにあっさり仕事辞めちゃうわけ?」

沙羅は動揺を隠しきれない。でもリサの決意は既に固まっていた。

「仕事辞めるのは父親に反対されるかと思ったんだけど、意外とそんなことなくて。両親2人とも真二さんのこと気に入ってるから、群馬行きにもすごくサポーティブなの」

仕事にも港区での生活にも全く未練がない様子。リサはそんな保守本流を貫くことよりも、真二をサポートすることをあっさり選んだ。そんな選択も、ハイキャリアを歩んできた慶應女子の人間にはし難い、マイペース系SFC生らしい選択なのかもしれない。

――真二さんにどこまでもついて行きます――

リサはすっかり政治家の妻になっていた。

若手社長やイケメン商社マン、外資エリート。自分たちのステータスを武器に3Sと派手に遊んできた沙羅。30歳までに遊びきると決めてハイクラス男子を漁り早5年。そんな中、同期のリサが手堅い物件をゲットし、地方暮らしを始めるなんて完全に寝耳に水。

――リサってずるい。別にすごく可愛いわけでもないのに、いつも周りに恵まれて。仕事だって、結婚相手だって。無意識に最上級をゲットしてる。それなのに私は……――

30歳まであと3年か。賢い沙羅は目下迫る自分のタイムリミットを強く意識し始める。地味女に対する敗北感と派手女として生きることへの限界や焦り……。リサによって気付かされた慶女出身バリキャリ系女子の現実。

――上だけを見ていてはダメだ――

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