新幹線からコンビニまで、JR西日本の今後 来島達夫社長が語る「戦略」と「経営課題」

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JR西日本の北陸新幹線は昨年の開業人気の反動減が響いている
2015年度は北陸新幹線の開業効果で過去最高の好決算を記録した西日本旅客鉄道(JR西日本)。だが、北陸新幹線の大阪延伸ルートの行方やローカル線の存廃問題など、課題は尽きない。山陰エリアで新幹線を待望する声も出始めた。来年の国鉄民営化30年という節目を目前に、今年6月に真鍋精志前社長(現会長)から経営のバトンを引き継いだ来島達夫社長に話を聞いた。

──北陸新幹線の状況は?

上半期で前年同期比1割減だ。好調だった前年の反動は避けられないにせよ90%台半ば程度のご利用はあると思っていたので、下期にかけて努力しなくてはならない。新幹線が本当に使いやすいものになっているか、現地に着いてからの二次的な交通アクセスは整備されているのか、細かく分析して打てる手を打っていく。当社単独の取り組みはもちろん、JR東日本やJR東海と共同でキャンペーンを行う。

山陰新幹線は十分な議論が必要

――北陸エリアで新たに導入した「花嫁のれん」「ベル・モンターニュ・エ・メール(べるもんた)」という2つの観光列車は、どのくらい観光に貢献しているか。

週末を中心に運行し、ずいぶんご利用をいただいているので北陸観光への誘発効果はあると思う。とはいえ、花嫁のれんは1編成、べるもんたも1両しかない。「もう少しキャパシティがないのか」という声があるが、既存の車両を改造するにしてもふさわしい車両がない。そこが悩ましいところだ。

――関西から北陸への流動は?

関西─北陸間の利用客は昨年は前年から5%伸びた。今年は昨年よりもさらに増えている。話題になったことで「北陸に行ってみよう」というニーズが関西にはまだまだあるようだ

──北陸新幹線の敦賀以西ルートがなかなか決まらない。

小浜─京都─新大阪という案が新幹線としての時間短縮効果を最も発揮できる、という当社の考えに変わりはない。

──山陰地方に新幹線を走らせるべきという声も上がっている。

北陸新幹線の例でもわかるとおり、新幹線には地域経済を活性化させる効果がある。しかし、その新幹線は国に使用料を払って運営されている。つまり採算性があるということで成り立っているので、採算が取れないと鉄道業としては厳しい。今後新たに整備する新幹線は今までのスキームの延長でいいのか、まったく新しいスキームでやるのか、十分な議論が必要だ。

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