JR北海道を救うには「値上げ」こそが重要だ 利用者のためを考えるなら路線廃止よりいい

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「定期運賃の少なさ」はJR北海道の苦境を語るうえで欠かせない。「地域の足」とはいうものの、実質的には観光客といった一見さん頼みの鉄道事業であることが明らかだ。

ちなみに、定期外運賃の利用者の平均乗車キロは50.5キロメートルで、札幌-新千歳空港間の46.6キロメートルとほぼ同じだ。この区間の運賃は1070円(46~50キロメートルの930円に特例で140円を加算したもの)と、料金を含めた定期外運賃の1003.0円という数値に酷似している。

極論ながら、JR北海道の収入の過半数はこの区間から得られたものだと言っていい。

現在の1.22倍の運賃で収支均衡

今回の試算では運賃を定期外、定期の別に分け、それぞれの輸送人員の比率に注目した。求められる旅客運輸収入をこの比率で運賃の種類別に分配した結果、求められた旅客1人当たりの旅客運輸収入が適正な運賃だ。

なお、わかりやすいように旅客運輸収入は営業収益と等しいと考えたが、実際には営業収益の部には手小荷物運賃、鉄道線路使用料収入、運輸雑収が含まれる。それからもうひとつ、国土交通省の統計には料金を支払って乗車した旅客の輸送人員や旅客人キロについては記載されていない。従って、定期外運賃とは料金を含めた定期外運賃と見なした。

営業収支を均衡させるに当たって、まずは経営安定基金の運用益を考慮した適正運賃を求めてみよう。

2013年度の経営安定基金の運用益は341億7300万円であった。したがって、営業費用の1159億5968万9000円から341億7300万円を差し引いた817億8668万9000円が目標とする旅客運輸収入となる。

輸送人員などほかの要件が変わらないという前提だが、この目標を達成するには、運賃を1.22倍に引き上げればよい。定期外運賃を例に挙げると、札幌-新千歳空港間は現行の1070円から1223.1円になる。

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