ミクシィでは通常の人事異動のほかに年に4回、各事業部が社内のコミュニケーションツールを通じて「こんな人材が必要」といって、社内公募を行う制度「ミクシィ・キャリア・チャレンジ」がある。
「人が集まらなければ困りますから、事業部の担当者は仕事内容はもちろん、その仕事を通じて得られるスキルなどを詳しく書いて、“社内転職”を募ります」(竹井マネージャー)。同じ職種を並行して異動する人もいれば、まったくの異業種を横断するような異動も可能だという。なお人事考課は、勤続年数に応じた年次評価ではなく、年に2度の半期ごとに行われる個別面談で行う。
キャリアアップして再び戻ってくる社員も
ミクシィは1997年11月、大学在学中の現会長の笠原健治氏が IT系求人サイト「Find Job!」の運営を開始したときを創業の年としているが、そこから数えても19年という新しい会社。社員の平均年齢も32歳で、平均勤続年数は3.3年と短い。
「当然長く勤めてもらえるような体制にしているが、ひとつの会社に長期間勤めるつもりで働いている社員はほとんどいないでしょうし、それでいいと思います」。人事担当者の発言とは思えないような言葉が竹井マネージャーの口から飛び出した。そもそも、同業他社の平均勤続年数も短く、前述のDeNAが3.4年、グリーも3.3年。そうした発言の背景には、技術進化が激しく、未来が未知であることが前提にあるからかもしれない。
総務省の統計によると、2014年のスマホの世帯保有率は64.2%に達する。2010年にはわずか9.7%だったので急速に広がったことがわかる。しかし別の観点から考えれば、6年前の段階では携帯電話の中心はガラケーであって、スマホで事業を興したところで市場規模は小さかった、といえる。つまり、IT企業やネット企業で働くということは、5年先、10年先の「今はまだない仕事」「今はまだ規模が小さい市場」を視野に入れて働くということになる。
その一方、ミクシィでは、他社に転職した社員がまた戻ってくるケースもあるという。自社の中だけでキャリアアップを完結させず、ほかでやりたいことがあれば容認するのがミクシィの方針だ。
「流動性の高い環境で働く私たちに求められているのは、現状に満足せず、常に次の一手を模索する探究心です。また、IT企業だからといって、ネットの世界だけに閉じこもってしまうのもいけません。たとえばモンストも、スマホゲームを皮切りに、アニメ化・映画化され、キャラクターグッズとしてリアルな市場にも流通しています。オンラインとオフラインの境界線を意識しつつ、それを飛び越えるような発想を生み出すことのできる人が必要だと感じています」という竹井マネージャーの口調は確信に満ちていた。
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