保険の「建て前」に人はこうしてだまされる 「誰から買うか」をもっと考慮するべきだ

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最後にネット経由での保険加入を考えてみましょう。費用を抑えられることや手軽さを理由に、ネット生保や比較サイトから保険に加入する人も増えてきています。

ただし、それらの理由だけで加入することには「ちょっと待った」です。メリットだけでなくデメリットも理解しておかないと「お得」とは決して言えません。

ネット生保

人件費がかからないことやインターネット割引などによって安く加入できますが、年齢による差があります。割引率・割安度で見ると、若い人は安く加入できますが、中高年になるほど安さの面でのメリットは薄れ、営業担当者や店舗で加入するのと変わらなくなります。

また、この場合は担当者がつきません。これは、メリット・デメリットの両方から見ることができます。メリットしては、営業担当者の質や能力にほとんど影響を受けなくなります。前述したGNP営業や情熱系営業を心配する必要もないでしょう。ただ、実際に給付申請をする際などは自分で手続きをしなければなりません。

保険を申請する際は、非常時です。ご家族に万が一のことがあった際に、冷静にインターネットや電話通じて保険の申請をするのは難しいケースも想定されます。

また、定期的に見直しをするのも自分です。保険で重要なフォローと給付の部分について、必要最低限の知識を持っておかなければならないわけです。

保険の比較サイト

比較サイトについてはどうでしょうか。個人が運営しているものは別として、比較サイトにはそれぞれ運営会社があり、運営会社には株主がいます。そのため、サイト上では公平に調査し、ランク付けされているように見えたとしても、実は株主となっている保険会社の商品が上位に多く登場していることがあります。

「誰から買うのか」から始めよう

整理してみてわかるとおり、どこから買うにしても、それぞれに欠点があります。ただ、すべてが一概に悪いわけではなく、当然ながらメリットもあります。

ポイントは、それらのメリットが、自分のニーズに合っているかどうかを検討することです。

例えば、田舎の町工場のおじちゃんが、スーツで決め込んだ営業マンやネットで比較しながら選ぶことがベストかというとそうではないことが多く、地域の顔なじみのセールスレディに頼むほうが、フォローが多いためメリットは大きいかもしれません。

逆にこれからの資産形成が必要な若年層にとっては保険以外の金融知識を身に付けさせてくれる存在が必要なため、義理人情やプレゼントは不要です。

この部分がマッチしていないと、どこで、誰から買ったかを問わず、いずれ後悔する原因になってしまいます。

賢く保険に加入するために、まずは「誰から買いたいか」を考えてみてください。そのうえで、どういう注意点があるか、自分にどんな保障が必要なのかを考えていきましょう。

大事なことは、自分の視点で売り手を比べること、そして、わからないことがあった場合には、多少でも良いので自分で調べ、勉強してみることなのです。

工藤 将太郎 クレア・ライフ・パートナーズ代表

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くどう しょうたろう

1983年生まれ。大分県大分市出身。ファイナンシャルプランニングをおこなう株式会社クレア・ライフ・パートナーズ代表。前職の日本生命にて、外資系金融機関(証券・銀行・投資顧問)や、私立大学を中心とした学校法人の確定拠出型企業年金や、弔慰金制度などの福利厚生制度の構築に従事。企業の人事部だけでなく、財務部や各営業セクションとのRMに注力する。

“なぜ日本人は生命保険ばかりに偏るのか?”という疑問を持ち、不動産投資や海外投資など生命保険に偏らない将来対策法を実践。従来の“保険の提案だけ”のファイナンシャルプランナーとは異なり、“マネーパズル®”や“ハイブリッドプランニング®”など独自のノウハウを確立したことで、「効率の良い資産配分」「早期対策の有効性」「行動することの必要性」を説く。20代30代の若手サラリーマンから共感を得ている。
 

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