JFEと神戸製鋼の財務内容を分析する 世界は鉄余り、鉄鋼業は再び「冬の時代」が到来か?

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問題は、金額の大きさだけではありません。今後は金利が上昇してくる可能性がありますから、営業利益が112億円しか出てない(前々期は605億円の営業利益)ことを考えますと、金利が上昇した場合、現状でも200億円程度の支払利息があることを考えれば、利益の多くが相殺されてしまう可能性があるのです。

「選択と集中」が必要

そこで、どうするか。鉄鋼業はそれほど利益率が高くありませんし、競争も激しい業界です。これは神戸製鋼の問題ではなく、鉄鋼製品の問題です。ですから、競争力のない製品を増やすというよりは、競争力の低い分野での生産を圧縮して負債を返済していくか、あるいは強みを生かせる分野に集中するか、ほかの事業に投資したほうがいいと考えるのではないでしょうか。神戸の高炉を休止させたのも、こういった背景があったものと思われます。

神戸製鋼は、ワイヤやバネなどの鋼材については、世界トップシェアを占めています。例えば、吊り橋のワイヤや、サスペンションに使うバネ材などは、非常に品質の高いものを作ることができるのです。ですから今後、神戸製鋼はそういう分野に特化していくのではないかと思います。

また、もうひとつ、新日鉄と住友金属工業が合併したこともあるのではないでしょうか。もともと、この2社と神戸製鋼は株式を持ち合うといった友好関係にありました。しかし、2社が合併したことで、神戸製鋼だけが外れてしまったところがあるのです。

これから、神戸製鋼が独自路線を貫いていくのか。それとも、新日鉄住金が神戸製鋼を統合させようとするのか。いずれにしても、神戸製鋼は生き残りを懸けて、事業の選択と集中を行おうとしています。今後の業績がどのように変わっていくのかに注目です。

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