シャープの株主総会、経営陣に痛烈な批判 「液晶事業は大失敗」、経営不安を問う声相次ぐ
――奥田社長に、社長就任後の1年間の感想を聞きたい。
奥田 当期利益が巨額赤字になって、皆さんにご迷惑をかけたことは、経営者として本当に申し訳なく思っています。改めてお詫び申し上げます。社長になって、亀山工場で受注がとれず苦戦しました。
堺工場についても、景気、海外の液晶テレビのマーケットの大きな変動で、調整せざるをえませんでした。2012年度の第1四半期に通期の下方修正をしました。私どもとしては何としても、12年度下期の営業黒字化、13年度最終黒字化をしたいという強い気持ちのもとで、構造改革に踏み込んできました。この過程で、なぜ大きく下方修正せざるをえなかったのかについては、外的要因と内的要因の二つがありました。
外的要因としては、デジタル商品がコモディティとなったことです。単価が下がり、粗利が下がりました。またデフレと円高基調の中で、交易環境が悪くなり、競争力を失いました。国内のエコポイントの終了もございました。
これだけ液晶テレビの市場が変化することは想定外。そのあたりは見方が甘かった。液晶事業に投資を集中しながら、2000年から大きくなったのは間違いではありませんでしたが、自前主義でやりながら、環境変化とリスクへの対応が不十分でした。また液晶におんぶにだっこで、ヒット商品も出ませんでした。
その後、大きく固定費を圧縮し、構造改革費用として踏み込んだ結果、12年度下期には営業黒字化を果たしました。13年度にやっとボトムの利益が出せるところまで計画を叩いてつくり、発射台をつくれたということは、社長として最低限の役割は果たせたと考えています。中期計画を確実に実行する中で、業績と信頼回復を図っていきたい。
――韓国サムスン電子と米クアルコムから資金をもらっているが、雀の涙だ。他の会社から出資してもらうような可能性はあるのか。
高橋 クアルコム、サムソン、ホンハイでもそうだが、出資ありきの提携は志向していません。企業のコラボレーションの効果がないかぎり、言い方は変かもしれないが、一時金みたいな話です。両社がウィン-ウィン(Win-Win)になる事業を模索していくのが、第一。そういう意味で、クアルコムとは、MEMSのディスプレイが主眼。サムスンは堺も含めた液晶事業の長期計画を進めています。その他は、決まったものはございません。業務提携を含めて、海外、日本の企業と話をしていくつもりです。
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