――なるほど、その情報の選択で各社の違いが出てくるんですね。でもまだそこまで大きな違いがないような・・・・・・。他にJTBさんならでは、というところはありますか?
「最も違うのは列車の並べ方です。ここが編集者の腕の見せどころ2つめになります。速い列車と遅い列車、どこを基準にするかで見せ方が違ってきます。JTB時刻表の読者の想定対象は主に旅行者なので、基準を『特急』にしています。ここが他の出版社さんと大きく違うところだと思います」
――確かにJTB時刻表は特急との乗り継ぎがわかるように並べられていますね。
「例えば交通新聞社さんの時刻表なら、駅員さんなど現場の方が使うので、普通列車なら普通列車同士並べる、などといった理由があります。JTBは旅行会社なので、お店で使う方や、特急を使う方対象、という性質があるのです」
――まさに私みたいな旅行客が読者の中心なんですね。
「他にJTBとしてのこだわりで、『何月何日~何月何日の毎日と土曜休日』と表現していることがあります。日本語としてはおかしいのですが、お客様が絶対に間違えないような表現にすることが大切なので、あえてそうしています」
校正は4色の色鉛筆で
入力されたデータを紙にプリントし、同じ原稿を何人もがチェックする。最近校閲がドラマにもなっているが、これが校正である。普通は赤ペンが多いのだが、JTBは色鉛筆で書き込みをする。字が小さいので、ペンで書くと潰れて見えなくなってしまうためだ。
そして役割によって使う色が違う。まず担当者が、資料から変えた部分を黄緑で、変わらない部分は水色でチェック。そのあとチェッカーが黄色、最後に編集長がピンクで書き込む。
「私がチェックするのに、8営業日かかります。32ページをだいたい2時間、全部で1100ページくらいあるので1日8.5時間。この校正チェックを始められるのはたいてい通常業務をした後、夕方18時くらいから。終電ギリギリまで仕事してますね」
かなりの激務だが、泊まり込みはしないようにしているとのこと。校了は1日では終わらないので、毎日続くと体力がなくなり、ミスを誘発するので徹夜はしない。そうやって出来上がった原稿を印刷所に入稿し、印刷・製本されたものが全国に発送される。
「一番忙しい時期はやはりダイヤ改正号の3月号ですね。12月上旬~2月中旬くらいまでが多忙な時期で、12月31日まで出社してます。年末年始はいつもありません」
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