――他社の表紙と写真がかぶったりすることはありませんか?
「私の知る限りはありません。さすがにE5系デビューなどはかぶったりもしますが、その場合は撮影スポットなどを変えます。北海道新幹線開業の時は、撮影できるスポットが一箇所しかなくて、そこでどう勝負するかがネックでした」
――最近表紙の写真や企画ページでアイドルの方を起用するなど、傾向が変わってきている気がしますが。
「以前は今のような企画ページではなく、巻頭には連載ものが載っていました。転機になったのは、まだ私が副編集長だった時。編集長が表紙に583系電車の写真を使いたいと言い出したんです。しかし私は反対しました。団体臨時列車なので、目立つけど実際には(時刻表に)載っていないし、脈絡がなさすぎる、と。
だったら巻頭カラーなどで表紙と連動させて見せるべきと提案したところ『それ雑誌だよね』と言われ、実際そのような構成で『今乗っておきたい列車』という企画ページにしたらとても売れたんです。その時に編集長といろいろ話し、表紙と中身は連動しているべき、雑誌の根本に戻ろうという方針となりました。そして最近では、できる限り人を出そう、というのが編集部の意向です」
ルートがすぐ頭に浮かぶ
――時刻表編集部で良かったと思うことはありますか。
「私は入社17年目なんですが、電車が止まって所定の時刻までに会社に来られなかったことって一回しかないんですよ。その一回は、車内に閉じ込められてしまい、どうしようもなかったんですけど。引き返してこう行った方がよい、とかルートがすぐ頭に浮かぶのはいいですね」
――個人的に、欄外の駅弁情報も重宝しています。まさにそこで、ひたちなか海浜鉄道の那珂湊駅で土曜日だけ買える駅弁の存在を知り、連載している漫画「メシ鉄!!!」の第三話で描いたんです。あの時は掲載直前に値段が変わって、漫画の校正の時に文字を直してもらいました。
「そうそう、こちらも漫画を見て駅弁の値段が変わったのを知ったんですよ!校正に慌てて赤を入れました(笑)」
なんと、巡り巡ってそんなことになっていたとは!恩返しができたようでうれしい。
今では他の時刻表でも書かれているが、欄外に駅弁を表記し始めたのはJTB時刻表が最初だとか。常に新しいことに挑戦していく、その姿勢はまさに雑誌だ。これからも『読み物』としてのJTB時刻表に期待したい。
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