栗原:たくさんありますよ。例えば、浜松~豊橋間のE席側にある、「塗装のイシカワよ!」って新幹線にアピールしている建物。
久野:(写真を見て)何でしょうか、こちらは?
栗原:石川塗装工業さんという、高級家具ですとか、ピアノの外装の塗装をされている会社なんですが、社員食堂の屋根に大きくペイントしてあるんです。最初は、職人さんの会社だからべらんめえ口調なのかと思ったんですが、よく見ると女の子のシルエットがあって。
久野:本当だ! 「月に代わって……」みたいな感じなんでしょうか?
栗原:どうでしょう(笑)。お話をうかがったところ、20年くらい前に先代の社長が考えたそうです。当時は関西の企業との取引が多かった一方、浜松駅から離れていて場所がわかりにくいと言われていたそうです。そこで、新幹線の車内から会社の場所が一目でわかるよう、ペイントしたのだとか。浜松駅の4キロメートル手前で、列車が減速して案内放送が入るタイミングなので、ちょうど良かったそうですよ。
久野:普通に会社名を書くのではなくて、こんなユニークなデザインにしたというのも面白いですね。
栗原:これも、先代社長のアイデアで、塗装会社は公害のイメージが強かったので、地域住民の方に親しんでもらえるようポジティブなデザインにしたそうです。
新幹線と阪急が並走するワケ
久野:奥が深いですね。今度見てみます。私は鉄道ファンなので、企業からのメッセージはあまり見ていませんでした。車両基地とかは、ウトウトしていてもハッと目が行くんですが(笑)。京都~新大阪間には、阪急京都線と並走する区間がありますよね。
栗原:山崎の並走区間ですね。ご存知の通り、新幹線の建設と同時期に阪急も高架化されて、先に完成した新幹線の高架線をしばらく阪急電車が走ったという……。
久野:そうですそうです! 運が良ければ、阪急電車との共演が見られます。「うわっ、阪急マルーン近っ!」って。あ、阪急マルーンというのは、阪急独得のあのカラーのことで……
栗原:久野さん、落ち着いてください。わかります。
久野:でも、阪急電車を見たい!と思っていると、来てくれなかったりするんですよね。
栗原:阪急並走区間あるあるですね(笑)。阪急京都線大山崎~上牧間が新幹線と並走しているというのは有名ですが、その理由を調べていくと、またなかなか興味深いんです。
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