久野:「心の相互直通運転」と言いますか、車内の人々の気持ちが通じ合う気持ちがしますよね。富士山が見えた、車掌さんの案内が嬉しい、みんな同じものを見て感動している……。そんな、幾重にも重なった感動のミルフィーユを感じます(笑)。
栗原:富士山と言えば、「幸せの左富士」も見逃せません。富士山は普通、山側のE席側に見えるんですが、一カ所だけ海側、A席側に見える区間があるんです。
久野:話には聞きますが、まだ見たことがありません。どの辺りでしょうか?
栗原:下りなら、静岡駅を過ぎて、安倍川を渡ったところから約40秒間です。でも、進行方向左後方になるのと、静岡市街を間に挟むので、なかなか見ることができません。見えたらとてもラッキーなので、誰かが「見えたら幸せになれる」と言ったんですね。安倍川を渡ったら、A席から振り返って、富士山が見えるか運試しをしてみてください。
久野:「振り返れば奴がいる!」という感じですね。私は海が好きでいつもA席に座るので、今度見てみます。他にも、東海道新幹線ならではのポイントはありますか。
栗原:それはもう、新幹線に向かってメッセージを送る人たちでしょう!
久野:なんでしょうか、それは?
「あの」看板に特別仕様があった!
栗原:東海道新幹線って、1日45万人もの人が利用するので、沿線には色々な看板や建物があって、新幹線の乗客に向かってアピールしているんですよ。有名なところでは、「新幹線の車窓はこんなに面白い」でも紹介した「727COSMETICS」の野立て看板があります。
久野:あ、私も見たことあります。白地に赤い文字で「727」って書かれたあの看板ですよね。
栗原:はい、BtoB専門の化粧品メーカーなんですが、ブランドを知ってもらうために、新幹線の沿線にたくさん野立て看板を出しているんです。最近では、自ら野立て看板の特設サイトを作ったり、全国に何十基もある野立て看板のうち2基だけを特別なデザインにしたりして、情報発信しているんですよ。
久野:特別なデザインですか?
栗原:東海道新幹線なら、名古屋~岐阜羽島間の1基が、「七二七化粧品」という漢字のデザインになっていました。これを見たら、願い事を7回つぶやくと叶うとか。メーカーに取材したら、「場所は秘密です。見つけても絶対に書かないでください」と言われて、連載でもぼかしたんですが、掲出期間が終わったのでもう時効でしょう。見つけた時は、車内で「あった!」って声を上げてしまいました(笑)。
久野:そんな取り組みをされているんですね。私は誕生日が7月21日なので、親近感を感じていました(笑)。
栗原:実際、「727」は創業者の誕生日が7月27日であることに由来するそうですよ。
久野:そうなんですね! そんな風に新幹線にメッセージを送っている企業は、たくさんあるんですか?
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