年利0.6%!超低金利の住宅ローンが大人気 銀行業界に思わぬ波紋

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「正直、採算は厳しい」

超低金利の背景には、昨年12月に日本銀行が打ち出した「貸出増加支援制度」がある。同制度は金融機関の貸し出しを促すために日銀が実施する低利の資金供給。具体的には、四半期ごとに貸出残高を増やした金融機関に対し、希望に応じて年利0.1%で資金を供給するというものだ。1回目の供給は6月20日に予定されており、三井住友銀行はこの制度を活用した。

同行の狙いは「金融緩和の効果を広く一般にも還元すること」(同)。長期金利の上昇という金融緩和の副作用ばかりが指摘される黒田日銀にとっても、歓迎すべき動きだろう。だが、そうした思惑とは裏腹に、思わぬ波紋が広がっている。

三井住友銀行の動きにまず反応したのが、残るメガ2行だ。三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行とも即座に「3年固定金利、年0.6%」で対抗した(いずれも9月末までの借り入れが必要)。両行の場合、日銀の制度を活用していない。関係者は「正直、この金利で採算は厳しい。対抗上、致し方ない」と打ち明ける。

地方銀行への影響も少なくない。現在はどの地銀も住宅ローンに注力している。今年は消費増税前の駆け込み需要が見込めることもあるが、それ以上に「法人の資金需要が弱く、住宅ローンしか伸ばせる分野がない」(地銀首脳)。

地方に行けば行くほど、こうした事情は深刻になる。その中で「年0.6%という金利は衝撃的」(別の地銀の融資担当部長)。この地銀は当面様子見の姿勢だが、主戦場ともいえる住宅ローンの分野でいつまでも指をくわえて見ていられない。各種優遇などによる水面下での顧客囲い込み合戦はさらに激化しそうだ。

利用者からすると、異次元の低金利競争は歓迎すべき話。だが、リスクも伴う。3年固定の場合、4年後には、固定か変動かを選び直す必要がある。ファイナンシャルプランナーの竹下さくら氏は「そのときの金利上昇に対応できる資金的余裕があるかどうか。利用する場合は10年の固定金利と組み合わせるなどの工夫も必要」と指摘する。

採算性の問題もあり、超低金利ローンがどこまで拡大するかは不透明。金利の先高感が強まる中、異次元緩和をうまく活用するには、金融機関側も、利用者側も、それなりの知恵が必要となる。

週刊東洋経済2013年6月22日

並木 厚憲 東洋経済 記者

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なみき あつのり / Atsunori Namiki

これまでに小売り・サービス、自動車、銀行などの業界を担当。テーマとして地方問題やインフラ老朽化問題に関心がある。『週刊東洋経済』編集部を経て、2016年10月よりニュース編集部編集長。

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