シェール革命、「むしろ石油に脚光」 出光興産・月岡次期社長に聞く
世界のエネルギーの歴史的な流れを見ると、固体から液体、そして気体。つまり、石炭から石油、そしてガスへと流れている。この気体のガスは、在来型のものが埋蔵量で限界があると考えられていたが、シェールガス増産で200年分以上もの埋蔵量が発見された。将来は中国や中南米など世界中に生産が広がる可能性が高い。
シェール革命で、むしろ石油が脚光浴びる可能性
注意すべきは、ガスは地産地消が安くていちばんだということ。日本はガスをわざわざ液化して運んで、再び気化するので、コストがかさむ。一方、米国がシェールオイルも増産して、中東から原油を輸入しなくなると、中東の原油の行き場はどうなるのか。そのときこそ、日本にとっては運びやすく、貯蔵性も高く、インフラの整っている石油が注目される。そういう局面が来ることが十分考えられる。
つまり、シェールガス革命で世界のエネルギーの流れは大きく変わるが、日本としては石油、石炭を含めた選択肢を十分確保しておくことが大事だ。これは当社が石油会社だから言っているわけではなく、本当にそう思っている。
日本は無資源国。エネルギー選択の余地はない。あらゆる選択肢を持って、その時々に使えるものを維持していかなくてはならないというのが私の持論だ。東日本大震災までは、日本は温暖化対策のために化石燃料はもうダメだとして「脱石油」で走ってきた。その代替が原発だった。
ところが、震災が起きると、今度は「脱原発」になった。そして天然ガスと石油が再び脚光を浴びている。もし震災前に石油のサプライチェーンを崩していたら、今頃とんでもないことになっていたはずだ。
――シェール革命によって、日本の石油化学事業も大きな影響を受けつつある。
現在は石油化学のエチレンも(原油から得られる)ナフサを原料として製造しており、今の原油価格は非常に高い。それに対して、米国のメキシコ湾岸で生産が拡大されようとしているのは(天然ガスの成分である)エタンを原料としたもので、圧倒的にコストが安い。エチレンは輸送にコストがかかるが、誘導品であるポリエチレンまで日本に輸入されたら、日本のコンビナートは競争力を失う可能性がある。
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