シェール革命、「むしろ石油に脚光」 出光興産・月岡次期社長に聞く
さらに、海外の戦略投資で主要なのが、資源事業での投資。ノルウェーと北海英国領、ベトナムでの原油開発、それから豪州での石炭開発、カナダでのウラン開発などだ。これも、日本のエネルギーセキュリティに寄与するというのがビジネスの背骨になっている。
環太平洋における燃料油のトレーディング事業を拡大する計画にしても、国内の需要減退で製油所の効率性が低下することを考え、必要な製品を安く効率的に輸入できる体制を整えることで、エネルギーの安定供給を図りたいとの思いがある。
命運賭けたベトナム製油所計画、リスク最小化の手は打った
――とりわけベトナム・ニソン製油所計画(2017年に商業運転開始予定)は事業規模が約90億ドル(8000億円超)と巨大で、合弁会社における出光の出資比率も35.1%と高い。ただ、社会主義国家ゆえの政策の不透明性やインフレなどのリスクも小さくない。
確かに会社の命運を懸けた事業であり、困難なプロジェクトだ。当初計画より3年近く遅れたのも、まさにリスクをミニマイズ(最小化)するために、契約事項やファイナンスの細かい詰めに時間をかけてきたためだ。やれることはやった。あとは創業者・出光佐三の経営理念である「人間尊重」を胸に、社員が一丸となって挑戦していけば、きっとやり遂げることができる。ベトナムの経済発展への貢献につながればと思っている。
――成功したときのビジネスチャンスの広がりは大きいのでは。
単に収益のリターンが上がるだけでなく、われわれの若い社員の活躍の場が広がることも大きい。いずれはミャンマー、タイ、マレーシアなど東南アジア諸国は全部ボーダーレスでつながっていく。そういう中で存在感のあるプロジェクトになると思う。
――米国の「シェール革命」が日本経済および石油業界へ与えるインパクトをどう考えるか。
ものすごく大きなインパクトをエネルギー業界に与えていくだろう。シェールガス革命で世界のエネルギーの流れは大きく変わる。ただ、シェールガスと石油との関係は冷静に見るべきだと思う。
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