銀座線が丸2日運休、「渋谷駅大工事」の全貌 電車を止めてまで行われたこととは?

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
クレーンで吊り下ろされる桁

工事は2009年1月にスタート。これまでは電車を止めずに実施できる工事が進められてきた。そして今回、ついに丸2日の運休を伴う線路の切り替え工事が始まったわけだ。

今回行われたのは、北側(宮益坂下交差点側)に新たな橋を架ける際の支障とならないよう、線路を南側に約4メートルずらす工事。11月5、6日は2本ある線路のうち、南側にある渋谷方面行きの線路を移設した。19、20日には、今回の工事で空いたスペースに浅草方面行きの線路を移動させ、これで1つのステップが完了となる。

渋谷駅の移設にかかわる工事では「今回がこれまでで最も大きい」と東京メトロ広報部は説明する。工事のために銀座線をストップさせるのも今回が史上初めてという。一部運休に伴う影響人員は1日あたり約30万人。何があっても月曜日の始発電車からは運転を再開させなければならない。「電気・車両・工務などさまざまな部門が関わる全社挙げての大工事。現地のほか、本社にも対策本部を設けて工事に臨んだ」(同社)という。

工事は夜を徹して行われ、4日の終電後に既存のレールや桁の撤去を実施。工事の様子が報道陣に公開された5日は、朝から新たな桁の設置とレールの搬入・敷設が行われた。

現場は「渋谷ヒカリエ」からもよく見下ろせる場所だけに、スマートフォンなどで工事の様子を撮影する人もちらほら。線路の両側に配置された2基のクレーンが、黄色い枕木が目立つ桁を次々と吊り降ろしていく。桁の設置は午前中でほぼ終わり、その後はレールの搬入に着手。「橋梁部隊やレールを設置する部隊などに分かれ、24時間体制で動いている」というだけあって、作業はスムーズに進んでいた。

工事が11月になったワケ

今回、工事が11月となったのには理由がある。より早い時期に工事を行うことも可能だったというが、あえてこの時期を選んだのは「(プロ野球の)クライマックスシリーズと日本シリーズの時期、そしてハロウィンを避けるため」(東京メトロ)だ。

もはや秋の風物詩となった渋谷のハロウィン。大勢の人で賑わう日に銀座線が止まれば影響が大きいのはもちろんだが、特に重要なのはプロ野球だ。銀座線の外苑前駅は神宮球場の最寄り駅だが、同駅は銀座線以外に乗り入れる路線がなく、運休となれば同球場へのアクセスに支障が生じてしまう。野球以外でも、神宮外苑や秩父宮ラグビー場では週末となればイベントや試合が開催される。このため、工事に伴う折り返し運転は特殊な形で行われることになった。

次ページ折り返し運転、なぜ2区間で?
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事