銀座線が丸2日運休、「渋谷駅大工事」の全貌 電車を止めてまで行われたこととは?

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クレーンで吊り下ろされるレール

今回、実際に工事が行われたのは渋谷ー表参道間の1駅間のみだが、折り返し運転は浅草ー溜池山王間と、青山一丁目ー表参道間の2区間で実施された。浅草ー表参道間の折り返し運転としなかったのは、表参道駅に電車の折り返しをするためのポイントがないためだ。そこで、浅草方面からの電車の折り返しが可能な駅として溜池山王駅が選ばれた。

残るは溜池山王ー表参道間だ。同区間にある駅は赤坂見附、青山一丁目、外苑前の3つだが、このうち外苑前だけは他の路線が乗り入れておらず振替輸送ができないため、この区間をストップさせてしまうことはできない。そこで、外苑前駅へのアクセスを目的として、青山一丁目ー表参道間でも折り返し運転を行うことになったのだ。

両駅には折り返しのできるポイントがないため、渋谷方面行き・浅草方面行きの線路にそれぞれ電車を1本ずつ配置してピストン輸送を行った。この方法だと、片道は通常と逆方向に走行することになる。このため、逆走の際は乗客なしの回送とし、運転士以外に監督者も乗せた上で、最高時速を50キロメートルに制限して運転したという。

線路切り替え工事はあと3回

線路切り替え工事前の銀座線渋谷駅。今回の工事では左側の線路を左に4メートル弱移設した(撮影:尾形文繁)

銀座線始まって以来といえる大工事の序章は無事終了したが、11月19、20日にも同様の線路切り替えが行われる。今回の工事では運休について「知らなかった」という人も駅などで見受けられたが、次回は利用者側にもより浸透するだろう。

新ホームの使用開始予定は約3年後の2019年度。それまでには、あと3つのステップを経る必要がある。第2回の線路切り替えでは、島式の新ホームを建設するため、今回移設した線路を両側に拡げてスペースを確保。次いで第3回の切り替えでは、2本の線路を結ぶポイント(両渡り)を表参道寄りに設置するための準備工事を実施する。そして第4回の切り替えでポイントの設置や従来の線路の撤去などが完了すると、いよいよ新ホームが使用開始されることになる。

いずれも時期はまだ未定だが、線路切り替え工事を経るごとに、渋谷駅東口の風景は大きく変わっていくに違いない。

小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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