福島原発、「燃料取り出し」いつ始まる? 〈現地ルポ〉廃炉への遠い道のり(下)

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クレーンでガレキの撤去作業が続く3号機。

人を寄せ付けない1~3号機、メルトダウンした燃料はどこに

バスは敷地南側のG6タンク前を通り北上。地下貯水槽前で停車したあと、海沿いの原子炉建屋へ最接近する。水素爆発で無残に崩壊した3号機建屋が眼前に迫る。炉心燃料が溶融(メルトダウン)した1~3号機は、注水冷却を続けることで約15~45度の低温安定状態を維持している。だが、周辺の放射線量は依然高く、1、2号機の建屋山側の空間線量は1000マイクロシーベルト毎時に達した。

廃炉に向けた中長期ロードマップでは、今から8年後の2021年までに溶け落ちた燃料デブリの取り出しを開始する計画。今はまだ、溶けた燃料がどこにあるのかもわかっていない。そして、30~40年後までに燃料デブリの取り出しを完了し、原子炉建屋等の解体や廃棄物処理を実施して、廃炉を完了することにしている。

30~40年後というと、現場の担い手は次の世代、もしくは次の次の世代に移っている。彼らはどんな思いで作業に当たるのだろうか。

バスは再び山側に上り、多核種除去設備(ALPS、通称アルプス)前で停車。汚染水の最終的な目標は「きれいにすること(浄化)」だ。既存の水処理設備は主にセシウムを除去するが、処理水の放射性濃度をいっそう低くするため導入されたのがこのALPSだ。貯水タンクの水をALPSに通せば、トリチウムを除く62種の放射性物質の除去が可能とされる。1日最大500トンの処理能力があるという。

発生する廃棄物は高性能容器(HIC)に収容。HICの強度不足を改めたことで当初の計画から遅れているが、現在、8~9月からの本格稼働を目指して性能確認(ホット試験)を行っている。

しかし、これも汚染水最終処理の決め手とはなっていない。東電は処理水の海洋放出を模索していたが、トリチウムが高濃度のまま残るため、原子力規制委員会では処理後も水を構内に保管するよう求めている。結果的に、処理済みの貯水タンクが必要となる。最近になってALPSの処理タンクで水漏れも見つかり、試験運転を一時停止に追い込まれた。

次ページ1年半前に比べれば安定した方向に
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