福島原発、「燃料取り出し」いつ始まる? 〈現地ルポ〉廃炉への遠い道のり(下)

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こうしたいわば“仮設”のタンクが全体の3割近くあるとされ、今後も漏洩が続く不安がつきまとう。

4号機プールから1533体の燃料取り出しが11月開始

一方、4号機の原子炉建屋では、今年11月の使用済み燃料取り出しを目指し、燃料を取り出すクレーンを固定するためのカバー設置工事が行われていた。

事故当時、4号機は1~3号機と同様、全電源を失い、冷却機能を喪失したが、定期検査中で全燃料が炉心から建屋内の使用済み燃料プールに移されていたためメルトダウンは起きていない。ただし、プール内には今も1533体の使用済み燃料が存在している。

また、3号機と共用している排気筒を通して3号機の水素が流れ込み、水素爆発が発生したため、建屋が大きく破損している。2011年7月にプールの耐震補強工事が行われ、12年7月には建屋上部のガレキ撤去も完了したとはいえ、燃料の安全性を確保するには建屋からの取り出しが急務だ。

4号機から取り出す燃料は、4号機の建屋近くにある共用プールに移送される。共用プールには現在、事故前に運び込まれた1~6号機の使用済み燃料(当初6377体)が沈められている。4号機の燃料を入れる空きスペースを確保するため、燃料の一部を4月から順次、乾式キャスクと呼ばれる専用容器に入れ、新設した乾式キャスク仮保管設備に移送しているところだ。同保管設備は取材コースの最後にバスから確認できた。

4号機からの燃料取り出しは2014年12月まで続く計画。作業中に大規模な地震が発生しないことを祈るしかない。3月18日にはネズミの接触が原因と見られる仮設電源盤のショートで停電が発生し、4号機燃料プールを含む重要施設の冷却が最長29時間にわたって停止した。こうした事故を起こさないよう万全の態勢が求められる。

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