ファナックも前のめり、産業ロボット大増産 世界中で需要沸騰、出荷台数は過去最多に

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ファナックが能力増強に乗り出す理由は「自動化ブーム」だけではない。従来の大口顧客は日系や米国系の自動車メーカーだったが、欧州でもチャンスが増えてきたのだ。

欧州ではスイスのABBやドイツのKUKAという、ファナックと並ぶロボットの世界2強が立ちはだかるが、「自動車メーカーがわれわれにも門戸を開くようになった」(稲葉会長)。フォルクスワーゲンなどドイツ勢に足掛かりを築いたという。「1社に入ると広がるのも早い」と稲葉会長は期待する。

次なる狙いは欧州自動車メーカー

欧州に商機を見いだしたのは、ロボットでファナックと双璧を成す安川電機も同じだ。同社は10月、30億円を投じてスロベニアにロボット工場を建設することを発表。2018年9月に稼働し、月産300台を予定する。「十分な市場がある。まずは自動車向けの体制を強化したい」(同社の村上周二専務執行役員)。

ロボット需要は自動車だけではない。川崎重工業は国内で約100億円を投じ、半導体向けのクリーンロボットの生産能力を1.6倍にする。川重は同ロボットで5割の世界シェアを握るが、IoT(モノのインターネット)技術の広がりで高まる半導体需要を取り込む。また中国・重慶にも工場を建設し、食品製造や電子部品の組み立てなど細かな作業が可能なロボットの生産を始める。

ベアリング大手でロボットも長年手掛けてきた不二越は、事業の中心をロボットへと転換することを決めた。自動車だけでなく、電機や産業機械などあらゆる分野に対応できる汎用製品をそろえる。ロボットの営業拠点を、今後半年で日本や中国、欧米に一挙に10カ所開設する予定だ。

ロボットを必要とする地域や業界はますます広がる。ファナックの稲葉会長が「当社の事業で今後の成長率がいちばん高いのはロボット」と話すように、ロボットメーカーの強気な増産投資はまだまだ収まりそうもない。

宇都宮 徹 東洋経済 記者

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うつのみや とおる / Toru Utsunomiya

週刊東洋経済編集長補佐。1974年生まれ。1996年専修大学経済学部卒業。『会社四季報未上場版』編集部、決算短信の担当を経て『週刊東洋経済』編集部に。連載の編集担当から大学、マクロ経済、年末年始合併号(大予測号)などの特集を担当。記者としても農薬・肥料、鉄道、工作機械、人材業界などを担当する。会社四季報プロ500副編集長、就職四季報プラスワン編集長、週刊東洋経済副編集長などを経て、2023年4月から現職。

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