結局は都民が負担?膨らむ五輪費用の行方 上山顧問「都や組織委はもっと情報公開を」

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調査チームはロンドン大会より警備費などが膨らむ可能性を指摘。「ロンドンはまとまった土地に新規施設を整備したため警備費が安く済んだ。東京は施設が分散しており、数百メートル離れただけでも別の警備態勢が必要になる」(上山信一・慶応義塾大学教授)。

各組織の連携不足も大きく影響した。大会開催には、都や大会組織委員会、政府、日本オリンピック委員会といった複数の組織が携わる。効率的な準備と運営に向けて、十分な調整が不可欠だった。

ロンドン大会の開催費は2.1兆円

しかし、どこがどれほどの費用を負担するかは明確にならず、どの組織も当事者意識を持たずに作業が進んだ。その結果、全体の費用は青天井で拡大。小池知事は「船頭がたくさんいて、寄せ集めのような状況になってしまっている」と嘆く。

もともと、大会の運営費や仮設施設の整備費は組織委が捻出する予定だった。

が、組織委の財源はチケットの売り上げやスポンサー収入による約5000億円にすぎない。ロンドン大会でも開催費総額は2.1兆円に及んだ。今後費用削減の議論が進んだとしても、組織委がすべてを負担することは困難だ。

それでは不足分はどこが負担するのか。立候補ファイルには、組織委の資金不足は都が補塡し、都が補塡しきれない場合は国が賄うと明記されている。つまり、ツケはすべて都、あるいは国が税金で支払う仕組みになっているのだ。

組織委の赤字を都が全面的に背負う事態となれば、国が一部を負担する新国立競技場やテロ・セキュリティ対策、民間のデベロッパーが整備する選手村などの費用を差し引いても、1兆円以上が都民の負担となる可能性がある。

10月中旬、小池知事と会談したIOCのトーマス・バッハ会長。「”もったいない”の精神で大会を成功させたい」と述べた。(撮影:尾形文繁)

都は大会開催に向け約3700億円を積み立ててきたが、負担が増大した場合、インフラ整備や福祉対策に活用する予定の基金を取り崩して対応すると説明する。

ただ、不透明なプロセスを経て拡大した開催費を税金で賄うことに、都民の理解は得られないだろう。わずか1カ月の祭典にそれだけの巨費を投じる妥当性はあるのか、十分な説明が求められる。

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