ネット選挙解禁のいちばんポジティブな影響 インターネットを用いた「落選運動」の懸念などもあったが?

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晴れて(というほど意識されてはいなかったが)合法に

今回の改正によって、有権者の行為が違法状態になくなったことは重要である。

実際に起訴され有罪に至ったケースは管見の限り見当たらないが、この改正は、突如、公選法違反を指摘されたりする可能性を激減したといえる(ただし、注意しなければならない点は、2013年の公選法改正では電子メールでの投票呼びかけや、有料バナー広告を通じた選挙運動は認められていないことである)。

拍子抜けするかもしれないが、2013年の公選法改正で最も大きく、そしてポジティブな影響はこの点にある。

このほかにもいろいろな疑問があるかもしれない。たとえば「ネット選挙解禁で選挙に必要なコストが下がる」といった話や、「ネット選挙解禁で若年者の投票率が上がるのではないか」という話を耳にしたことはないだろうか。

それが、他国の事例や先行研究からすると、実のところ、これといった根拠のない話であると言ったら驚かれるだろうか。

次回はそんな、ネット選挙解禁をめぐる誤解について考えてみたい。

※2013年のネット選挙解禁で選挙運動のルールがどのように変わったかの詳細、有権者の行動が実はグレーゾーンにあったことなど、詳しくは『ネット選挙 解禁がもたらす日本社会の変容』を併せてご覧ください。


 

西田 亮介 社会学者

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にしだ りょうすけ / Ryosuke Nishida

立命館大学大学院先端総合学術研究科特別招聘准教授(有期)。
1983年京都生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。同大学院政策・メディア研究科修士課程修了。同後期博士課程単位取得退学。同助教(有期・研究奨励II)、(独)中小機構経営支援情報センターリサーチャー、東洋大学・学習院大学・デジタルハリウッド大学大学院非常勤講師等を経て現職。

専門は情報社会論と公共政策学。情報と政治、ソーシャルビジネス、協働推進、地域産業振興等を主な研究テーマとする。現場とデータ双方の丹念な調査・分析に取り組み、得られた知見を以て現実に寄り添った問題提起を行う。ネット選挙解禁に際しては、当該領域における専門家として注目を浴び、新聞・雑誌へのコメントや寄稿、テレビ・ラジオへの出演と各メディアを通じて、広く一般に語りかけ続けている。

著書に『ネット選挙 解禁がもたらす日本社会の変容』(小社刊)、共編著に『「統治」を創造する』(春秋社)、共著分担執筆に『大震災後の社会学』(講談社)、『グローバリゼーションと都市変容』(世界思想社)他。

⇒【WEBサイト】、【ブログ】、【twitter

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