ネット選挙解禁のいちばんポジティブな影響

インターネットを用いた「落選運動」の懸念などもあったが?

解禁前、一般の有権者も場合によりグレーゾーン

もうひとつは、特定の政策を呼びかける議員や政党への投票回避を呼びかける、いわゆる「落選運動」についての項目ができたことである(公選法第142条の5)。 

※(インターネット等を利用する方法により当選を得させないための活動に使用する文書図画を頒布する者の表示義務)

第百四十二条の五 選挙の期日の公示又は告示の日からその選挙の当日までの間に、ウェブサイト等を利用する方法により当選を得させないための活動に使用す る文書図画を頒布する者は、その者の電子メールアドレス等が、当該文書図画に係る電気通信の受信をする者が使用する通信端末機器の映像面に正しく表示されるようにしなければならない。

 選挙の期日の公示又は告示の日からその選挙の当日までの間に、ウェブサイト等を利用する方法により当選を得させないための活動に使用する文書図画を頒 布する者は、その者の氏名又は名称が、当該文書図画に係る電気通信の受信をする者が使用する通信端末機器の映像面に正しく表示されるように努めなければな らない。

 選挙の期日の公示又は告示の日からその選挙の当日までの間に、電子メールを利用する方法により当選を得させないための活動に使用する文書図画を頒布する者は、当該文書図画にその者の電子メールアドレス及び氏名又は名称を正しく表示しなければならない。

 

2000年代前半の韓国の大統領選挙で、一躍話題になった落選運動だが、これまで日本の選挙制度のなかに、明確な規定はなかった。

ところで「選挙運動」というのは、わかりやすく言うと、特定の選挙において候補者や政党への投票を直接間接に呼びかける運動のことだ。

日本の選挙制度では、政治的な運動全般を指す「政治活動」と「選挙運動」が区別され、後者について厳しく規制されているのだ。

繰り返しになるが、選挙運動へのインターネットの利活用解禁をもって、日本のメディアは「ネット選挙」解禁と広く称しているのである。

このネット選挙解禁は有権者にとって、どのような意味があるのだろうか?

その最も大きな点は、有権者の「違法状態」が解除されることではないだろうか。

多くの人があまり意識せずにいると思われるが、公職選挙法が規制の対象としているのは政党や政治家だけではない。一般有権者も、その対象となっている。

したがって、2013年4月の公選法改正以前には、たとえば選挙運動期間中に著名な政治家の演説に出くわし、スマートフォンで写真を撮って、

「〇〇(場所)で、△△氏を見つけた。かっこいい。投票して下さい」

と、ブログやソーシャルメディアに投稿するような行為は、合法とはいえなかったのだ。

これについては、当の政治家や候補者でさえ十分に理解できておらず、おそらく意図せず行っていたのではないだろうか。というくらいであったし、スマートフォンやソーシャルメディアは、その技術特性が、こういった行為を推奨するという側面もあるのだから、一般有権者にはなおさらだ。

動画共有サイトやブログなどを検索すれば、グレーゾーンとしか言いようのない投稿を多く見つけることができたはずだ。

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