三井:最後に、マーケットのお話を少しお伺いしたいと思います。中原さんは「2016年版予測」では、FRB(米連邦準備理事会)の利上げをきっかけに円高トレンドに転換するだろうと述べられていましたが、まさしくそのとおりになりましたね。
中原:円相場を予測するうえで重要なのは、さまざまな要因を俯瞰したうえで総合的に判断することだと考えていました。日米の金利差拡大という要因にフォーカスし円安が続くと予想するのは、あまりに視野が狭く偏った判断であり、相場を動かす海外投資家の行動パターンや歴史的な見地を軽視していると思ったのです(連載コラム「円安終焉へのカウントダウンが始まった」(2015年12月14日)、「やっぱり2016年は円高トレンドの1年になる」(同12月30日)を参照)。
それに加えて、私自身が若い頃に欧米の金融マンとともに為替市場で切磋琢磨していた経験から、海外の投資家や投機筋がどういう思考パターンを持っているのか、おおよそわかるという強みもあるのかもしれません。いずれにしても、2016年は2012年と同じように、円相場のトレンド転換が非常に読みやすかったと思います。
海外の投機筋は「次のチャンス」を待っている
三井:1ドル100円~105円がターゲットになるだろうと述べられていましたが、そのレンジもドンピシャでしたね。
中原:100円~105円というレンジは、あくまで海外投資家がターゲット・プライスにする目安を述べたわけですが、運よく当たったというところでしょうか。2016年に入って円高の傾向が鮮明になるに従い、海外の投機筋の多くは円相場のターゲット・プライスを100円~105円に設定するようになっていました。実際にこのレンジで利益確定をした海外の投機筋が多いということは、シカゴのマーカンタイル取引所(CME)の先物の推移を見ても、明らかです。
三井:次の展開はどうなるでしょうか?
中原:今のところ、海外の投機筋は100円より先の円買いを進めようとする気配を見せていませんが、じっくりとチャンスを待っているのは間違いないでしょう。株価の予測も含め、今後の展開や心構えについては、拙書をご覧いただければ、ご納得いただけると思います。
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