スタバ、ドトール参戦!「中目黒戦争」の行方 焙機併設カフェでサードウェーブに対抗

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なぜ、大手各社は高級カフェを中目黒に出店するのか。スターバックス コーヒー ジャパンの水口貴文CEOは中目黒を選んだ理由について「乗降客数が多い中目黒駅があり、1日6万台の自動車が通る大通りもある。新しいものが生まれ、 色々なものが動いていく場所だ。川や緑といった自然がコーヒー豆とマッチするのも非常に魅力的」と語る。

ただもう少し現実的な理由もありそうだ。カフェ事情に詳しいライターの川口葉子氏は「中目黒は1990年代後半にオープンした、モダンな高級家具をそろえ、流行の発信地となった店である 『オーガニックカフェ』(再開発に伴い現在は閉店)の存在が大きい。渋谷などと違い、広い土地を確保しやすいこともある」と指摘する。

また、すでに出店しているドトール・日レスやブルーボトルと違い、スターバックスの出店は2年以上も先の出店計画を公表しており、同社としては異例のことだ。

その背景には2つの危機感がありそうだ。ひとつはこれまで国内で提供するコーヒー豆の大半は米国など海外で焙煎したものを日本に輸入したものだった。

サードウェーブに対抗?

隈研吾氏は店舗建設予定地を「新しい時代のライフスタイルを予感させる場所」と表現する(撮影:尾形文繁)

今回、ロースタリーを導入することで、「初めて地元で生豆を焙煎することで、コーヒーやフードの品質の高さを変えて行く」(シュルツCEO)。さらに焙煎したコーヒー豆を国内他店でも扱うことが可能になる。

もうひとつがブームの変化だ。スターバックスは世界中で深炒りの豆を使ったセルフスタイルのコーヒーで世界を席巻した「セカンドウェーブ」の代表格として知られてきた。

たが、前出の川口氏は「コーヒーのトレンドは、スターバックスが得意とする深煎りのものから、サードウェーブに代表される浅煎りのコーヒーにシフトしている」と指摘する。

奇しくも、国内2強であるスタバとドトールの新業態と、新しい流行であるサードウェーブのブルーボトルが顔をそろえる中目黒。はたして各社は共存するのか。それとも早々に撤退していくのか。今後数年にわたって、熱い戦いが繰り広げられそうだ。

常盤 有未 東洋経済 記者

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ときわ ゆうみ / Yuumi Tokiwa

これまでに自動車タイヤ・部品、トラック、輸入車、楽器、スポーツ・アウトドア、コンビニ、外食、通販、美容家電業界を担当。

現在は『週刊東洋経済』編集部で特集の企画・編集を担当するとともに教育業界などを取材。週刊東洋経済臨時増刊『本当に強い大学』編集長。趣味はサッカー、ラーメン研究。休日はダンスフィットネス、フットサルにいそしむ。

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