日本株の救世主か、「GPIF」って何 資金運用は世界最大、賃金は世界最低?

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資産運用に当たるスタッフ数がケタ違いに少ない

もっとも、「そうであれば、一挙に運用方針を改定し、国内株式のアセットアロケーション比率を大きく引き上げればいい」と言えるほど、問題は単純ではない。いずれの機関においても、それに見合うだけの体制が整っていないからだ。

たとえば、111兆円という巨額の公的年金を運用しているGPIFですら、職員数は2012年3月末で72名しかいないのが現実だ。

年金資産を運用している他国の機関と比較すると、その面での未整備ぶりは歴然とする。たとえば、カナダ所得比例年金(CPP)は、14兆6000億円(1カナダドル=90円、2012年3月末)の資産規模に対して、職員数811名の体制となっている。CPPの場合、資産運用会社に運用を外部委託するだけでなく、自らが資産運用にあたるインハウス(自家)運用の形態を取っていることを勘案する必要があるとしても、やはり、GPIFとの違いは絶大だ。ちなみに、GPIFの職員数72名には事務職も含まれており、資産運用に当たる職員数はさらに少ないことになる。

GPIFの資産運用改革が不可欠とみる投資顧問会社のトップも「専門家をそろえて、さらにガバナンスが機能するようにすることが運用改革の大前提」と指摘する。産業競争力会議における今回の議論においても、「リスク管理体制等のガバナンス」など体制面の充実が重視されている。

その点、今後、議論の焦点のひとつとなりそうなのが、これらの運用主体の属性にほかならない。なぜならば、GPIFなどの機関が「独立行政法人」という位置づけにあるからだ。

資金運用は世界最大なのに、世界で「最低賃金」?

独立行政法人は人件費のしばりが厳しく、定数を拡大することも、あるいは専門的な知見に見合う報酬を提供することも容易ではない。したがって、今回のような資産運用方針の見直しを追求するにも、現状の独立行政法人である限り、その前提となる体制整備がままならない、ということになってしまう。GPIFもその例外ではない。

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