日本株の救世主か、「GPIF」って何 資金運用は世界最大、賃金は世界最低?

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アベノミクス「3の矢」でGPIF見直しが再浮上

国内でも同様の問題が提起され、民主党政権下の2009年には厚生労働省が「GPIFの運営の在り方に関する検討会」を開催。一時、資産運用を再検討する機運が盛り上がったものの、民主党内における対立抗争の中で、翌10年の取りまとめは玉虫色の内容に終わった。それでも、12年には、当時の野田政権の下で閣議決定された「日本再生戦略」の中に、再びGPIFの資産運用の見直しが盛り込まれたが、その後の政権交代で事実上の白紙となっている。

今回、安倍政権の下では、いわゆる“アベノミクス”の掲げる「第3の矢」、成長戦略の一環として、GPIFの資産運用の見直しが再浮上した。GPIFなどが保有する資産を成長分野への長期投資に振り分けて、同時に株式の長期投資リターンの向上に資するようにする、というのがその狙いだ。

過去に国内外から問題提起されたように、GPIFのアセットアロケーションでは、国債など国内債券の比率がきわめて高い。具体的には、直近で全資産の60%が国内債券に振り向けられている一方、国内株式の比率は13%でしかない(下表)。

しかし、同様の他の機関に比べれば、GPIFのアセットアロケーションは、まだ多様化しているほうだともいえる。

たとえば、国家公務員共済組合連合会など制度3共済の場合には、国内債券の比率がさらに高く、国内株式の比率は平均で約10%。それどころか、他の独立行政法人においては、国内債券と預金だけの運用となっているようなケースも珍しくない。

現政権に限らず、これまでの政権でも「貯蓄から投資へ」が叫ばれてきたものの、公的資金ベースではその流れを促す枠組みができていてなかったということになるだろう。

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