クリントン大統領誕生でも円高ドル安になる トランプ大統領が消えてもリスクは消えない

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これらの数値を振り返ると、過去の民主党政権では財政改善・安定でドル高となっていた。したがって、クリントン氏が大統領に就任することになった場合、ドル高になるとの見方ができそうである。

クリントン氏が大統領なら円高ドル安に?

しかし、現時点でクリントン氏が示している政策を推し進めた場合、軍事費の拡大や保険料の増額などにより国家財政への負担が増え、財政は悪化する可能性が指摘できる。

その結果、財政収支の対GDP比が悪化すれば、むしろドル安になりやすくなるといえる。

一方、トランプ氏は「連邦法人税率を15%とし、海外利益に対する税率は10%に下げる」と前例のない改革案を掲げているが、この法人税改革が実行された場合、慢性的な財政赤字と投資不足に悩む米国の経済構造を再び変える可能性がある。

また、米企業が海外で稼いだ外貨を米国内に還流させる動きが鮮明になった場合、2005年のようにドル高・円安が進む可能性も否定できない。

ちなみに、その当時のドル円は、2005年1月の101円台から12月には121円台にまで円安が進み、一年間で20円もの値幅での動きになっている。

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この点について、クリントン氏は海外資金への課税し、海外利益への課税猶予をやめ、海外子会社に直接課税する考えであり、トランプ氏の政策ほどのドル高圧力はかからない可能性がある。

政策面ではこのような点が指摘できるが、一方でドル指数は7年程度で上昇・下落のサイクルが鮮明である。ドル指数の上昇は2015年で終了した可能性が高く、またこれまでの米国サイドからの発言を考慮すれば、ドル安政策をそう簡単に転換させることはないだろう。

これらから、クリントン氏が大統領に就任することになれば、素直にドル安が進むと考えやすくなる。しかし、米大統領がトランプ氏になれば、状況を見極める必要が出てきそうである。いずれにしても、11月8日の大統領選の結果と、来年1月20日の大統領就任式後に発表される具体的な政策内容に注目することになろう。

江守 哲 コモディティ・ストラテジスト

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えもり てつ / Tetsu Emori

1990年慶應義塾大学商学部卒業後、住友商事入社。2000年に三井物産フューチャーズ移籍、「日本で最初のコモディティ・ストラテジスト」としてコモディティ市場分析および投資戦略の立案を行う。2007年にアストマックスのチーフファンドマネージャーに就任。2015年に「エモリキャピタルマネジメント」を設立。会員制オンラインサロン「EMORI CLUB」と共に市場分析や投資戦略情報の発信を行っている。2020年に「エフプロ」の監修者に就任。主な著書に「金を買え 米国株バブル経済の終わりの始まり」(2020年プレジデント社)。

 

 

 

 

 

 

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