電通が恐れる過労死事件「書類送検」の可能性 当局の胸一つで「一罰百戒」狙いもアリか

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電通のほかの社員の労働環境についても、大阪支社が2014年、東京本社が2015年に労基署から是正勧告を受けており、広範囲で長時間労働が常態化していたことが疑われている。特に2015年の東京本社への勧告については、その約4カ月後に高橋さんが過労自殺している。電通はノー残業デーを設けるなどの対策を取っていたとしているが、労働環境が適切に改善されていなかった可能性がある。電通では、1991年にも当時24歳の男性社員が過労自殺しており、悪質性の判断に影響を与えそうだ。

このほかにも是正勧告がなかったかを尋ねたが、電通の返事は「労基署による調査に全面的に協力しておりますので、回答は差し控えます」というものだった。

企業が送検される例はまれ

ここまでを見ると、電通が書類送検される可能性は十分にありそうだが、実際に企業が送検される例は極めて少ない。厚生労働省の「労働基準監督年報」などによると、2014年に労働基準監督官が送検した件数は1036件(起訴率は約40%)。東京に限定すると、2015年度の送検は63件で、このうち労働時間を問題としたケースは19件だった。

労働問題にくわしいある弁護士は、「労基署が調査をした事案で送検されるのは統計的には1%以下で、送検されることは希だ。しかし、本件は、是正勧告を複数回受けても長時間労働が改善されておらず、過労死・過労自殺という『被害』が複数発生しており、過重労働を取り締まる専門の過重労働撲滅特別対策班(通称『かとく』)が調査に入っている。

また首相や厚労大臣が特定の企業名を名指しすることも珍しい。2014年に過労死等防止対策推進法が施行され、安倍政権が掲げる長時間労働の是正などを目指す『働き方改革』にも関係して、本件は世間からも非常に注目されている。

こういった状況を踏まえると、送検の可能性は通常の事案よりも相当高いといえる。具体的な数値にするのは難しいが、あえていえば、感覚的には少なくとも20%~30%程度はあるのではないか。送検は一罰百戒の意味合いが強く、当局の胸一つだ」と感触を話していた。

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